軍事用ヘリの老舗、米ベルヘリコプターの日本市場戦略

ソーンリー日本法人社長「(新型の)ベル552は救難救助活動や石油採掘の用途に向いている」

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ソーンリー社長
 7月に入り、中型双発ヘリコプター、ベル525リレントレスが米国で初飛行に成功。日本国内では、7月17日に陸上自衛隊の次期多用途ヘリコプター「UH-X」の開発事業者に富士重工が選定され、ベルは同社と共同開発する。日本法人であるベルヘリコプターのリチャード・ソーンリー社長に、日本市場の現状やベル525の状況、米陸軍向けに開発中のティルトローター機V-280、UH-Xの意気込みなどを聞いた。

 ─ 日本法人を設立し、東京オフィスを開設した顧客の反応は。
 「既存顧客と今後新規顧客となり得る潜在顧客の両方から、前向きな反応を得ている。日本法人を設立後、8社へ18機を販売できた。日本法人を設立した一番の理由は、顧客の声を直接聞き、対応できるようにすること。恵比寿は、パートナーである富士重工業の本社もすぐ近くにあり、日々のコミュニケーションも楽になった」

 「恵比寿というロケーションは、新木場ヘリポートや霞ヶ関、防衛省のある市ヶ谷にも便利。だからこそ、この場所を選んだ。窓からはヘリが飛んでいるのがよく見える。私たちの会社以外のヘリもだが(笑)」

 ─ 日本市場では防衛省向けとそれ以外の比率はどの程度なのか。
 「防衛省向けが3分の2、防衛省向け以外が3分の1だ。1年間で販売が伸びたこともあり、民間向けのシェアは広がってい。我々の製品はカバーする範囲が、小型から大型までとても広い。それぞれのクラスで競合が存在するが、どのクラスでも提案できる強みがある」

 ─ 新型の中型双発ヘリ、ベル552が初飛行に成功した。特徴を教えて欲しい。
 「民間用ヘリでは世界で初めて、操縦系統にフライ・バイ・ワイヤを搭載した。新技術を搭載し、過酷な条件でも信頼性を保ちながら、パイロットの作業量を減らすことができる。例えば、フライトコントロールシステムは三重にした。安全性を最優先しており、安全のコントロールを重視した設計だ。コンピューターシステムが正確に運航をサポートしていくようになっている」

 「用途としては、救難救助活動などに向いている。長距離を飛行できるので、海難救助にも適している。コックピットの視野も同クラスでは一番確保されており、自動化も進んでいる。ホバリング時に、GPSに任せて飛ばすこともできる。乗員は1人または2人で、乗客は最大20人が乗れる。救難救助であれば、3人から4人くらいの隊員と、10人くらいの救助された人を運ぶことができる」

 「ベル525が注目を浴びたのは、石油採掘の用途だ。海洋油田は沖で採掘するので、長距離を飛べる必要があり、ある程度の人数を運べなければならない。ベル525なら、2基あるエンジンのうち、1基が機能しなくなる事態が起きても、残り1基で離陸と上昇を続けられる。また、一番暑い日でも、最大重量を積んだ状態で能力を発揮できる」

 ─ ベル525はどういった経緯で開発されたのか。
 「今回はベルが一方的に開発したのではなく、いろいろな業界から、こういうヘリを作った方が良い、という要望を吸い上げた。顧客から意見を拾う「カスタマー・アドバイザリー」を2010年に設立し、いろいろな意見をいただいた。先ほどの救難救助活動や石油採掘といった用途だけではなく、ドクターヘリや要人輸送ヘリとしても利用できる」

 ─ 型式証明はいつごろ取得するのか。
 「2017年1-3月期に、FAA(米国蓮舫航空局)の型式証明を取得するのが目標だ。5機の飛行試験機があり、1500飛行時間のフライトテストを行う」

COMMENT

吉川忠行
Aviation Wire
編集長

3月に東京オフィスを開設したベルヘリコプター。陸自のUH-Xは富士重工と同社が共同開発しますが、中型双発の新型ヘリ525や、米陸軍向けに開発中のティルトローター機V-280を日本の離島輸送に使えるかなど、ソーンリー社長に聞きま した。

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