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慶大が骨を作り替える仕組み解明。がん治療薬の開発につながるか!?

高頻度で骨転移が生じる骨髄腫や乳がん。不良なたんぱく質が蓄積して骨の破壊を促す
 慶応義塾大学医学部の堀内圭輔特任准教授や東門田(とうもんだ)誠一特任助教らは、骨の機能を維持するために古い骨を壊す新しい仕組みをマウス実験で解明した。骨を壊す「破骨細胞」が作られる過程に着目。細胞内のたんぱく質の生産工場である小胞体に不良なたんぱく質が蓄積してストレスがかかり、このストレスが破骨細胞の分化能力を高め骨の破壊や吸収を促すことが分かった。
 
 骨髄腫や乳がんは高頻度で骨転移を生じる。がんの骨転移では破骨細胞が活発に働くことで骨がもろくなり小さな外傷で骨折するなど問題になっている。また小胞体ストレスはがんの治療標的としても注目されており、研究の進展によりがんの増殖と骨の破壊を同時に抑える治療薬の開発が期待できる。

 成果は21日、米科学誌ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション電子版に掲載される。

 破骨細胞の基になる細胞から、小胞体ストレスを認識するセンサー分子「IRE1α」をなくした遺伝子改変マウスを作製。マウスの骨を解析したところ、破骨細胞の分化能力が低くなり、通常のマウスと比べ骨の量が増えていることが分かった。またIRE1αの阻害薬が破骨細胞の分化を抑えることも確認した。
日刊工業新聞2015年07月21日 科学技術・大学面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
これはぜひ治療薬開発に応用してほしい。

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