医療系外資×地元企業、神戸が狙う化学反応

ポートアイランドに続々進出

 神戸市に外資系企業の進出が活発化している。兵庫県と神戸市は優遇策を設け、拠点を設置する外資にオフィス賃料を補助するなど積極的に誘致してきた効果が出ている。外資進出を通じて多様な国や地域から新たな視点を取り入れ、中小企業などと“化学反応”が起きれば、地域産業の活性化だけでなく、ベンチャー企業が育つ環境づくりにもつながりそうだ。

 兵庫県は外資向けに賃料などを補助する「国際経済地区」を2012年度に設定。指定区域は現在、神戸市中央区を中心に約1800万平方メートル。企業の人数や面積といった規模に関係なく、賃料や市場調査経費などを補助する点が特徴だ。神戸市によると18年7月現在、同市内に264社が拠点を構えている。

 そのうち中央区の人工島「ポートアイランド」は「神戸医療産業都市構想」を掲げる。次代を担う戦略産業の一つ、医療・健康・福祉分野で、外資の知見も取り入れた技術革新を進めている。

 米国製薬大手のイーライリリー・アンド・カンパニーは5月、神戸市中央区の日本法人を隣接地区に移転し、拡張した。米イーライリリーは日本法人、日本イーライリリーを1975年、神戸に設立。ポートアイランドでは、神戸市などと認知症治療薬の治験などに取り組んでいる。

 このほど催した新社屋完成記念式典で、日本イーライリリーのパトリック・ジョンソン社長は「医薬品開発に加え、地域の健康寿命延伸のため、情報提供など多面的な支援をしていく」と述べ、地域への貢献を表明した。

 イスラエルも神戸へ秋波を送る。6月には駐日イスラエル大使館が主導し、初めて同国の医療系企業8社が神戸でセミナーを開いた。セミナーには関西の医療や製薬企業、商社などの関係者が出席。同国のノア・アッシャー経済公使は「医療産業の振興に取り組む神戸市と、イスラエルの先端技術で相乗効果を生みだしたい」と、各社を呼び寄せた狙いを説いた。

 血行治療向け医療機器を開発するイスラエル企業、メディスペックのアブナー・スペクター社長は「イスラエルの発案力と、日本の着実にモノづくりを発展させられる特徴を融合させたい」と期待する。

 神戸を拠点にベンチャーを育てようという外資の動きもある。ドイツ製薬大手のバイエル傘下、バイエル薬品(大阪市北区)は6月、神戸医療産業都市に起業家を支援する施設「コラボレーター神戸」を開設した。また18年秋には、米国経営コンサルティング大手のマッキンゼー・アンド・カンパニーが、アジアで初となる自社社員向け研修施設「神戸ラーニングセンター」(神戸市中央区)を設置する計画だ。

(2018年8月2日)

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
08月02日
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神戸市外資系企業誘致担当の吉田晴香係長は「外資系企業が拠点を置くことで、地域産業との情報共有や国際競争力の向上につながる」と話す。地域経済や中小と化学反応が起こるよう、どう誘導していくか。これからが行政の腕の見せどころだ。(神戸・中野恵美子)

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