【ルンバ生みの親】ロボットは多くの人に見られて進化する

ボタン操作や複雑な動きに驚き

 ロボット掃除機「ルンバ」の生みの親として知られるロボット研究者のロドニー・ブルックス博士は26日、東京都渋谷区の「変なカフェ」を訪問した。同カフェでは、ブルックス博士が米iRobotを退社後に創業した米リシンク・ロボティクス製の協働ロボット「ソーヤー」が働く。

 同カフェを手がけるエイチ・アイ・エス(HIS)やQBITロボティクス(同品川区)の担当者らの案内を受け、ソーヤーが氷を入れ、エスプレッソマシンなどのさまざまな機械を動かして注文したコーヒーをいれる様子を見学した。ソーヤーは、紙コップなど柔らかいものもつかみ、ドリップコーヒーは一度に最大で4品目連続の注文を受け付けられる。ドーナツなどのつかみにくいものは随時対応する。

 特にボタンを押す繊細な動きが気に入ったといい、「複数のマシンを動かし、複雑な仕事をしている。ソーヤーが今できるトップレベルの仕事だ」(ブルックス博士)と笑顔で語った。現在、ソーヤーの多くは工場で働いており、カフェの仕事ほど複雑ではないという。

 ブルックス博士は、「ソーヤーが表に出ているため進化のスピードが速い」と話す。工場での利用者はどのように使っているか見せたがらないが、多くの人がロボットの動きを見ると感想やフィードバックが増え、技術進化を後押しする。

 また、変なカフェでは、ソーヤーを「かわいい」と言って写真を撮る女性客も多い。ブルックス博士は、「25年前、ロボットが愛着を持たれ、かわいがられることは予想していなかった」という。だが、ルンバなどを市場に出すと、ルンバをペットのように飾り付けるユーザーは多かった。爆弾処理ロボットを気に入る兵士たちの存在も知った。工場で働くソーヤーも帽子をかぶり、名札を付けている。今では見た目の役割にも注目している。

 例えば、ソーヤーは「見た目とできる仕事が比例するようにした」(ブルックス博士)。コミカルで親しみやすい目を持つが、人の目とは違う。人に似ていると仕事への期待値が上がり、期待を下回るとがっかりされる。性別がないのも、先入観を持たれないためだ。

 一方、「ロボットはタスクを完璧に実行しなければならない」と強調した。介護を手助けするロボットの実用化は目標の一つ。お風呂を手伝う時などに失敗は許されない。今後、介護や災害復旧の支援などでロボットの拡大に向けて、研究を続ける。
(文=梶原洵子)

ロドニー・ブルックス博士(左)と協働ロボット「ソーヤー」

石橋 弘彰

石橋 弘彰
07月31日
この記事のファシリテーター

QBITロボティクスの中野浩也社長に以前、「ロドニー・ブルックス博士が変なカフェを見たがっている」と聞いていた、今回、ブルックス博士の念願が叶った形だ。ブルックス博士の話からは、常に「ロボットをとことん使いやすくしたい」という思いが伝わってくる。インタビューさせてもらった際も「プログラマブルロボットコントローラー(PLC)なしでロボットと機械をつなげる」ことに取り組み、「システムインテグレーターを介さずにロボットシステムを構築する」仕組みこそ必要だと訴えていた。ロボットシステムがスマートフォンのように誰でも利用でき、人を助ける。ブルックス博士の理想型に、変なカフェは現状で一番近いのかも知れない。

この記事にコメントする

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。