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抑うつ状態、脳内の炎症が関連していた!

神戸大などが突き止める
 神戸大学の古屋敷智之教授、京都大学の成宮周特任教授らは、気分が落ち込む「抑うつ状態」に、脳内の炎症が関連していることを突き止めた。ストレスを受けたマウスの脳を調べると、免疫を担当する細胞「ミクログリア」で炎症性たんぱく質の遺伝子発現が上昇していた。免疫分子を標的とした新しい抗うつ薬の開発につながる。

 研究チームは、攻撃性の強い雄マウスによりストレスを受けた「反復社会挫折ストレスモデル」のマウスについて、脳内を解析。微生物の侵入などに応答する「自然免疫」を担う受容体を活性化させる分子の発現が上昇していた。

 具体的には、自然免疫受容体「TLR2」と「TLR4」が活性化され、炎症が引き起こされていた。TLR2とTLR4の遺伝子を欠損したマウスでは、抑うつの行動が消失した。

 TLR2とTLR4はミクログリアに強く発現している。特に、「内側前頭前皮質」という場所のミクログリアが抑うつに関係していることが分かった。

 ストレスを受けたマウスではTLR2とTLR4により内側前頭前皮質のミクログリアが活性化し、炎症性のたんぱく質の発現が上昇していた。
日刊工業新聞2018年7月20日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
成果は20日、米科学誌ニューロンに掲載されるそうなので詳細を知りたい方はそちらでも。

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