「沖縄 産業の島へ♯03」進む沖縄発モノづくり

日刊工業新聞社那覇支局開設記念特集より

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沖縄県が整備している賃貸工場
 沖縄と工業、特に機械系製造業をイメージするのが難しいという人は多い。確かにこれまでは輸送にかかるコストが原価を押し上げることから、生産拠点としての位置づけはされにくかった。しかし近年、アジア地域に大きな市場が生まれたこととともに、沖縄における物流インフラが強化されたことで、沖縄発のモノづくりが現実化、具体化している。

基盤技術の裾野広がる 物流インフラ・用地拡充


 沖縄県が県中部に整備している工業地帯「国際物流拠点産業集積地域うるま・沖縄地区」は、那覇空港から車で1時間ほどの所にある。海を埋め立てた、この広さ392ヘクタールの工業地帯に、さまざまな製造業者から熱い視線が送られている。

賃貸工場が好調


 同地区には2014年度、11社が立地した。県によれば単年度で2桁の企業が立地したのは初めて。国内の景気回復にあわせて、アジア市場へ近い立地が評価されているという。現在の立地企業数は47社、うち4社が15年度に立地した。沖縄県企業立地推進課は「メード・イン・ジャパンの品質とアジアへの近さを両立できる」と強みを挙げる。

 同地域那覇地区を含めると9社が立地の準備中だ。中でも件が整備している賃貸工場へのニーズは大きい。現在ある35棟に、年度内に新たに5棟が加わる予定だ。だが、すでに新設する棟数以上に引き合いがきており、すぐの入居には調整が必要なほどの人気だという。

 企業の立地が進むにつれて、産業集積の層も厚みを増している。賃貸工場を活用した基盤産業の集積も順調。「素形材賃貸工場」には金型や自動車部品、精密機械の設計・製造を行う11社が入居中。ハードディスクドライブ向けなど特殊なプレス用精密金型メーカーである大垣精工(岐阜県大垣市)は、沖縄でも高精度のモノづくりを実現している。また東海精機(三重県菰野町)は13年度に高度技術製造業賃貸工場に入居した。パーツフィーダーや工場自動化システムなどの設計・製造を沖縄で手がけている。コンボルト・ジャパン(沖縄県うるま市)は、地上設置式の燃料貯蔵タンク「コンボルト型タンク」のメーカー。国内向けには全数を沖縄で生産している。沖縄から全国に製品供給すると同時に、今後は沖縄の立地を生かしたアジア展開も視野に入れている。

基盤産業の集積進む


 基盤技術の裾野の広がりという点でも、産業集積は奏功している。素形材賃貸工場に入居している、ものづくりネットワーク沖縄(同)は、沖縄県金型技術研究センター、積水化成品沖縄(沖縄県うるま市)と樹脂容器の共同研究を実施。県内で行えなかった金型の施策や製造が可能になったことで、積水化成品沖縄は真空成形による非発泡樹脂容器の製造に参入した。同社は那覇空港のハブ拠点化でニーズが増すと見られる工業製品のこん包材生産への参入も視野に入れる。

 このほか、うるま・沖縄地区の賃貸工場には機械系メーカーだけでなく、パン・アキモト(栃木県那須塩原市)がパンの缶詰を製造するなど幅広い業種が集積している。

物流面も利便性向上へ


 うるま・沖縄地区内にある中城湾港の東ふ頭は2015年度にしゅんせつが完了し、16年度には供用開始するめどが立っている。本格稼働としては17年度以降を予定。稼働すれば、大型の機械や製品を船舶で運ぶニーズに対応しやすくなり、物流の利便性が高まる。さらにそれに伴って、現在はまだスペースがある分譲用地についても立地が進むのではないかと県は見ている。

 人材面では景気回復や建築土木や観光といった他業種が好調なこともあり、以前のような人余りの状況ではないが「東京や大阪ほどではない」(県企業誘致推進課)という。

日刊工業新聞2015年07月15日 特集「沖縄 産業の島へ」より抜粋

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