ブリヂストンが挑むスマート工場化

彦根工場に先行導入

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彦根工場に導入しているタイヤ成形システム「エクサメーション」
 ブリヂストンは情報通信技術(ICT)を活用したタイヤ生産の改革に乗り出す。スマート工場化により、品質や生産性を高める狙い。一部システムを先行導入した彦根工場(滋賀県彦根市)での成果を受け、2019年以降に各工場に広げる。

 タイヤの主原料の天然ゴムは品質にばらつきが出やすく、タイヤ成形時に湿度や温度のちょっとした変化でゴムの貼り付き方が変わる。生産ラインの状況をリアルタイムで分析し、柔軟に対応できるスマート工場化は「品質を高める技術だ」と国武輝男執行役員は力を込める。

 スマート工場の基盤は、独自開発したICTの二つのシステムだ。一つは生産現場などから集めた各種データを分析する「ブリヂストン・インテリジェント・オフィス(BIO)」で、もう一つは生産ラインを制御する「ブリヂストン・インテリジェント・デバイス(BID)」。BIOによる分析データを基に、BIDに搭載した人工知能(AI)が効率的に生産ラインを管理する。

 同社は16年に二つの基盤を活用したタイヤ成形システム「EXAMATION(エクサメーション)」を彦根工場へ先行導入した。同システムは、トレッドなど各パーツを組み合わせる成形工程で、ラインに配置したセンサー類からゴムの位置や形状変化などの品質データを計測する。そのデータを生かし、最適条件で組み立てられるようAIがリアルタイムで自動制御し、高精度にタイヤを製造する。

 これにより、生産性は従来比2倍に高まり、タイヤの丸みを示す真円度の品質が約15%向上した。「技能員が経験や勘を生かした作業も3分の1に減らすことができた」(担当者)。現在は彦根工場とハンガリーの工場にエクサメーションを導入している。

 引き続き性能の改善を進めつつ、他の工程や世界各地の工場へ広げる。未導入の栃木工場(栃木県那須塩原市)のタイヤ成形工程では各パーツの貼り付けや、バリの切断は手作業で行っているため、システム導入による生産性向上の期待は大きい。

 また、ブリヂストンは先進技術を使って安定的な機械設備の稼働にも取り組む。機械設備の動きをICTシステム上の仮想工場の中で再現する。仮想工場を稼働し続けて故障のタイミングなどのデータを集めて分析し、実際の工場で起こる故障の予兆を事前に検知できるようにする。国武執行役員は「センサーなどを追加しなくても機械の状況を確認できる」とコスト面でも差別化できると見る。

(2018年7月19日 自動車面)

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ブリヂストンはBIOやBIDを活用して開発や顧客サービスでも競争力を高めていく考えだ。(山岸渉)

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