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中小・中堅企業の登竜門「発明大賞」応募受付中

応募締め切りは9月30日、表彰式は来年3月中旬
 中堅・中小企業を対象とした表彰制度の中では歴史が古い「発明大賞」。今年で第44回を迎える同表彰は、全国の中堅・中小企業の発明を発掘し、その功績を広く認知すべく実施されている。学識経験者による厳格な審査を経て受賞した企業は、関係諸官庁からの信頼が厚い。かつて受賞した企業は経済産業省主催「ものづくり日本大賞 内閣総理大臣賞」や文部科学大臣表彰「科学技術賞」を受賞するなど、発明大賞をはずみに飛躍した企業も多い。

 応募対象は中堅・中小企業(資本金10億円以下の企業)、及び個人またはグループで、案件は特許・実用新案を登録済み、または公開された発明考案。

 「発明大賞本賞」「発明大賞東京都知事賞」「発明大賞日本発明振興協会会長賞」「発明大賞日刊工業新聞社賞」にそれぞれ1件のほか、「発明功労賞」「考案功労賞」「発明奨励賞」「発明育成賞」として複数件を表彰する。応募締め切りは9月30日(当日消印有効)。表彰式は来年3月中旬に東京都内で予定している。

 応募などの問い合わせは、(公財)日本発明振興協会(03・3464・6991)へ
公式ページ:http://www.nikkan.co.jp/html/hatsumei/

前回受賞企業の発明を紹介



【本賞】半導体工場における配管型反応生成物捕集器=大成技研


 

 うず溝構造を利用した排ガス用の微粒子捕集フィルター。半導体製造装置(CVD)などから排出されるガスから微粒子を捕集する。装置内部にうず溝構造を設け、排ガス中に含まれる微粒子を遠心力で分離する。従来の除去方法は、操業を停止して、分解するといったメンテナンスが必要であった。さらに、微粒子そのものの影響で真空ポンプの寿命が短くなるという課題があった。

 開発した捕集器は圧力損失が小さく、フィルターの目詰まりが小さく長寿命という特徴がある。さらに、うず流旋回吸着と高機能フィルターによって1マイクロ―300マイクロメートルという幅広い粒子径の粉じんを捕集できる。
(大成技研=東京都足立区、03・3858・8701)

【東京都知事賞】粒状体地盤コアバーレル=基礎地盤コンサルタンツ


 

 土木・建築構造物の建設に必要な地盤調査時、砂れき地盤など崩壊しやすく取り出すことが困難な地盤で、原地盤状態を乱さずにサンプルを採取する技術。地質観察や強度情報を得る室内土室試験の試料採取を目的に使われる。

 従来手法では、サンプリング時に試料表面や細粒土を消失してしまっていた。本技術は、潤滑剤として高粘性流体を使うことで、原地盤状態を乱さずに試料の採取が可能である。水溶性ポリマー溶液を使って試料表面を保護し、崩壊しやすい砂れき地盤の採取が可能になった。
(基礎地盤コンサルタンツ=東京都江東区、03・6861・8800)


【日本発明振興協会会長賞】眼鏡レンズの染色方法=ニデック


 

 厚みの異なるレンズに高い再現性で着色する技術。昇華性染料をインクジェットプリンターで転写紙に印刷し、レンズに転写して染色する。色の再現性が高く、安定して目的の色を出すことができる。さらに、プリンターを使うことでインク量の調整が可能なため廃液が減り、環境にも良い。

 従来は、レンズを染料を融解した染料液に浸漬して着色していたが、レンズの厚みが異なると色の再現性が低くなるため、熟練者が一つ一つ色修正する必要があった。
(ニデック=愛知県蒲郡市、0533・67・6611)

【日刊工業新聞社賞】ダイレクトタッチ型メタルダイヤフラム弁=フジキン


 

 高速で開閉し、ガスの流量の精密な制御をするダイヤフラム弁について、形状と素材を改良して耐久性を向上させた。素材を複数のステンレス鋼板とニッケル・コバルト合金薄板との積層体で形成し、形状および構造に特徴を持たせることで、一定の流量を保つことができる。

 従来は一定流量を維持するためにダイヤフラムを大きく変形させて流路断面積を確保していたが、高速で開閉を行う場合には負荷がかかり、破損の恐れがあった。
(フジキン=大阪府柏原市、072・977・4661)



日刊工業新聞2016年4月5日

日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
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