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DeNAは“未来の岩田聡”を生み出すかも?

今年もやります、小学生のプログラミング教育
 ディー・エヌ・エー(DeNA)は佐賀県武雄市で小学生向けのプログラミング教育の実証実験をスタートさせた。武雄市立山内西小学校の2年生を対象に、タブレット型パソコン用の教材アプリケーションの提供と授業を行う。授業内容はアプリ教材を用いてゲームやアニメーションを創作する。実施期間は6月15日から2016年2月頃まで。授業の検証・分析は東洋大学が担当する。DeNAは、こうした取り組みを通じて、ITを活用したモノづくりの楽しさを伝え、子どもたちの創造力強化に貢献する。

「プログラミングの素養があれば、作り手になれるし起業もしやすい」(南場智子)


 ディー・エヌ・エー(DeNA)は昨年、佐賀県武雄市と協力し山内西小学校で1年生40人を対象にプログラミングの授業を8回行った。取締役ファウンダーの南場智子さんは何回も現地に出向いて、涙が出るほど感動したという。武雄市は小学生全員がタブレットを持っていて、ゲームやアニメーションを喜んで作った。

 南場さんいわく、ITエンジニアを増やそうとしたら、なるべく多くの子どもたちに触れさせて、親しみを持ってもらうことだという。タブレットを渡しただけでは利用専用になる。アプリを提供することで、使うのも楽しいけど、作ることもできることを教えたかったという。みんな答えが違って自分でシナリオを書くので教育にもいい。最初は南場さんに目も合わせてくれなかった先生も、徐々自分から率先して指導するようになったとか。

 ―去年の10月から佐賀県武雄市の公立小学校で1年生を対象にプログラミング教育の実証実験を始めましたが。
 南場「社会ではバーチャルの割合が大きくなって、ネットで創作活動ができないと利用者だけにとどまってしまう。プログラミングの素養があれば作り手になれるし起業もしやすい。私は義務教育にすべきだと思いますよ。ソフトウエア技術が国力を左右する時代に、日本はコンピューターサイエンスの人材が全然足りていない。米国は人材ポートフォリオを戦略的に算出して、学部構成まで考えている。日本で人材活用といえば、『女性』とか『外国人』とかの議論になってしまうけど、本当に大事なのは、どういう人材が何年までに何万人必要という発想です」 

 ―最近は娘を理系に進学させたがる親が多いと言われています。
 南場「よいことだと思いますよ。私は米国留学で経済学問というよりは、探求することを学びました。理系は仮説を立ててもっと深く探求しますよね。あとは職業選択に直結する進学を18歳の時にさせてはいけないと思います。勉強が一番できるからとりあえず東大医学部に行って、『そんなに医者になりたくない』という人が結構いたりする。もうちょっと世の中にどんな仕事があるか、視野を広げてから専門教育へ進む方が悲劇は起こらない」
日刊工業新聞2015年06月12日 電機・電子部品・情報・通信面の記事に大幅加筆・修正
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
南場さんも守安社長も提携した任天堂の岩田社長のことをすごく尊敬していた。これから提携を深めようという矢先の岩田さんの訃報は、残念で仕方ないだろう。南場さんの人材へのこだわりはよく知られていること。以前から、ディー・エヌ・エーをステップに世界に活躍する人が多く出て欲しいと言っていたが、武雄市のような取り組みをもっと広げて欲しい。

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