JOLED、増資計画は遅れているけど印刷式有機EL量産へ

2020年をめど、10―32型の中型パネル

 JOLED(東京都千代田区、石橋義社長、03・5280・1600)は、印刷方式の有機ELディスプレーの事業展開を加速する。2020年をめどに、ジャパンディスプレイ(JDI)から取得する工場で量産を始める。生産能力は現状の約10倍になる計算だ。27日にはアトモフ(京都市中京区)と共同で、印刷式有機ELを採用した「デジタル窓」を開発したと発表した。一方、量産に向けた増資計画は交渉が遅れている。世界初の印刷式有機ELの飛躍には、顧客と資金の確保が必要条件だ。

 JOLEDはJDI能美工場(石川県能美市)を取得し、7月1日付で「能美事業所」を開設。基板サイズ5・5世代(1300ミリ×1500ミリメートル)の生産ラインで、月産約2万枚の能力を抱える。既存設備を活用しながら新たな製造棟と設備を導入し、10―32型の中型パネルを生産する計画だ。

 能美工場は当初、JDIが産業革新機構に200億円で売却し、同機構がJOLEDに現物出資。JDIは売却で得た資金を、18年度に販売拡大を見込む「フルアクティブ液晶」の増産に充てる計画だった。

 しかし今回スキームを見直した。JDIは売却で得た200億円で、16年に有機ELの開発加速に向けて発行した転換社債を同機構から買い取る。

 JDIは同機構から200億円を新たに借り入れ、増産に充てる方針だ。合わせて同機構はJOLEDに200億円を出資し、能美工場取得にはその資金を活用する。

 JOLEDが6月をめどに進めていた量産に向けた1000億円の増資計画は「目標額に達成しておらず、引き続き交渉していく」(JOLED)。予定通り進められなければ、今後の量産計画に影響を与える可能性がある。

日刊工業新聞2018年6月28日

政年 佐貴惠

政年 佐貴惠
06月29日
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世界初の印刷式有機ELの事業化は前進したが、資金繰りは不安材料だ。JDIは設立当初からの強気の増産投資が経営を圧迫した。JOLEDの行方は、今後の増資交渉の成否にもかかっていると言えそうだ。

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