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「真っ先に日本路線開設」―ポーランド航空、中欧初の直行便

2016年、開設へ。セバスチャン・ミコシュCEOインタビュー
「真っ先に日本路線開設」―ポーランド航空、中欧初の直行便

インタビューに応じるポーランド航空のミコシュCEO

 ポーランド航空は2016年1月から、成田―ワルシャワ線を就航する。ポーランドから日本への直行便の乗り入れは初めてで、当面は週3便からスタート。成田線の就航を皮切りに、日本における事業拡大を打ち出すセバスチャン・ミコシュ最高経営責任者(CEO)に、今後の戦略を聞いた。

――このタイミングで日本路線を開設する狙いは。
 12年から15年まで公的支援による事業再構築プランを実行しており、この間は新規の路線開設ができなかった。かねて日本路線の開設を待っていたが、やっと公的支援の制約がなくなり、真っ先に日本路線を開設することにした。

――日本路線の旅客需要をどのようにみていますか。
 ポーランドは欧州の中欧に位置し、経済は右肩上がりで、輸出の拠点として日本企業の進出も多い。日本―ポーランド間の旅客需要は今後、年2%のペースで伸びるとみている。ワルシャワは中欧の主要都市の一つだが、現在、日本から中欧に乗り入れている直行便はない。ワルシャワ空港の最短乗り継ぎ時間は30分で、プラハやブダペストなど、中欧や東欧への所要時間は大幅に短くなる。中欧、東欧への渡航の受け皿として、旅客を取り込めると考えている。

――日本路線の収益性はどう見ますか。
 機材は米ボーイング787―8型機を投入する。旅客の収益ももちろんだが、貨物の収益も期待している。日本にも貨物部門を置き、路線全体の収益の12―15%を貨物からの収入で見込んでいる。

――同じ航空連合の「スターアライアンス」に加盟する全日本空輸(ANA)とのコードシェアの方向性は。
 ANAとは交渉中で、日本の国内線の複数路線でコードシェアしたい。成田―ワルシャワ線のワルシャワへの直行の需要は50―60%で、残りは乗り継ぎであることを考えると、コードシェアは非常に重要だ。

――今後の日本における路線展開について。
 とりあえず週3便から始めるが、なるべく早くデイリー運航にしたい。今のところ、16年夏に週5便に増便し、17年夏にデイリー運航を目指している。地方路線については、夏季にチャーター便などを運航しながら、2―3年後に関西や名古屋に就航したい。

 【記者の目/中国などアジア路線を拡大】
 ポーランド航空は経営難から公的支援を受け、新規投資などを制限されていた。この制限が15年末になくなるのを契機に一気に業容拡大に打って出る。ミコシュCEOは16年の座席供給量(ASK)が前年比で30%拡大すると意気込む。日本就航はその一環であり、中国などアジアを中心に路線を拡大する方針だ。

(聞き手=高屋優理)
日刊工業新聞 2015年07月14日建設・エネルギー・生活面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
ポーランドは2004年に欧州連合(EU)に加盟、急速に欧州との結びつきを強めています。リーマン・ショックのさなかでも国内総生産(GDP)はプラスを維持し、安定成長を続けているようです。外務省HPによるとポーランドに進出する日系企業数は2014年9月現在で約293社。直行便の開設で、ビジネス需要の拡大も期待できそうです。

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