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カードゲームに新風!KADOKAWA、GREEなどが「アナログ×デジタル×通信」

専用アプリで遊び方提案。ゲームは仮想だが普及に向け「実世界」を重視、玩具店でイベントも
カードゲームに新風!KADOKAWA、GREEなどが「アナログ×デジタル×通信」

3社による「銀鍵のアルカディアトライブ」発表会見

 「遊び」の多様化でカードゲーム市場が縮小するなか、新たな需要を掘り起こそうとKADOKAWA、グリー、ホビージャパン(東京都渋谷区)の3社が協業を始めた。普及が進むスマートフォンを取り込むことで、カードゲームの新しい遊び方を提案。アナログとデジタル、通信の融合で新風を吹き込む。縮小傾向に歯止めをかけられるか。

 3社は共同で製作委員会を立ち上げ、カードゲーム「銀鍵のアルカディアトライブ」を展開する。トレーディングカードとスマホのアプリケーション(応用ソフト)を連動させることで「これまで経験したことがない革新的なプレーが楽しめる」(KADOKAWAの池田正道MD事業部担当部長)というゲームを目指す。

 KADOKAWAが販売やマーケティング、カードの世界観設定を担当。グリーの子会社であるグリーエンターテインメントプロダクツ(東京都港区)がアプリ開発を、ホビージャパンがゲームのルール設計をそれぞれ担当する。

 専用アプリをインストールしたスマホとカードを完全に連動させて遊ぶ。アプリ内の指示に従いながら、キャラクターのカードを使い、一対一の対戦を楽しむ。アプリ内でキャラクターの衣装を着せ替えるといったこともできる。また、スマホを通じて、利用者参加型の陣取りゲームも提供する。

 スマホで仕掛けるゲームは仮想の世界だが、普及に向けた戦略は「実世界」を重視。公認されたカード専門店や玩具店などで大会を開いたり、大型イベントを開催したりと人の顔が見える取り組み。カードゲームを普及させたノウハウを生かす。

 「コミュニケーションしながら楽しめることがカードゲームの魅力。スマホを利用することでさらにコミュニケーションの幅を広げる」(グリーエンターテインメントプロダクツの原田考多社長)ことで、既存のスマホゲームなどと差別化する。

 マーケティング活動も積極的に展開。9月10日の発売日までに全国で順次開催するイベントや、インターネット動画配信サービスで情報番組を全5回放映する。

 ゲームで遊ぶためのインフラ環境の構築にも取り組む。ワイヤ・アンド・ワイヤレス(Wi2、東京都中央区)が協力し、希望するカードゲーム専門店に対して来店客が無料で無線LAN規格「Wi―Fi(ワイファイ)」を利用できる通信環境を提供する。これにより通信キャリアを問わずスマホやタブレット端末(携帯型情報端末)などからネット接続してゲームを楽しめる。

 日本玩具協会の調べによるとカードゲームとトレーディングカードを合わせた市場規模は2012年度が約850億円、13年度が約830億円、14年度が約780億円と3年連続で減少している。

 「遊び」の中心的な存在になりつつある“デジタル”のスマホアプリに“アナログ”だったカードゲームを融合することで、新市場構築の救世主となるか―。まずはその存在をアピールするマーケティング活動がカギとなりそうだ。
 (文=松沢紗枝)
日刊工業新聞2015年07月14日 電機・電子部品・情報・通信
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
最近は昔流行したもののリバイバル、リメイクがどの分野でも多い。「革新性」をどこまで出せるか。 亡くなった任天堂の岩田社長のように、ゲームを愛するイノベーターがこれから新しい商品を生み出して欲しい。

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