求む!日本発のヒーロー企業

政府や大企業、VCなどが相乗りしてベンチャー支援

有望な企業を選定・集中支援


 経済産業省が新たなベンチャー支援策「J―スタートアップ」を立ち上げる。11日、支援対象として将来有望なベンチャー92社を発表した。補助事業での優遇やビジネスマッチングなどを通じ、各社を重点的に支援する。起業家の育成・誘致をめぐる国際競争は激しく、フランスや中国など国策として力を入れる例も目立つ。ユニコーン企業(企業価値が10億ドル以上のベンチャー)が少ない日本はベンチャー育成での後れが指摘されるが、今後の巻き返しに期待がかかる。

 J―スタートアップは、有望なベンチャーを選定・集中支援し、内外に発信するブランディング戦略だ。IoT(モノのインターネット)、人工知能(AI)など次世代分野の担い手としてベンチャーの重要性が増しているが、「日本のベンチャーは技術で高いレベルにある半面、ブランドとしてうまく発信できていない」(経産省幹部)のが課題。集中支援により有望株をさらなる飛躍に導き、「国内外の起業家にとっての“ヒーロー”となるベンチャーを日本から多く輩出したい」(同)という。

 戦略の柱になるのが、新たな企業選定制度だ。ベンチャーキャピタル(VC)やコンサルティング企業の関係者らを推薦役に、第1弾としてMUJIN(東京都墨田区)やインフォステラ(同渋谷区)など92の有望ベンチャーを選んだ。

世界へ巻き返し図る


 今後、各種補助事業では、加点や特別枠を通じ今回の選定先を優遇する。また、「大臣の海外訪問に同行できる機会を設け、現地の政府や企業などとのつながりを作ってもらう」(同)ことなども計画する。

 ベンチャー育成・誘致の動きは、海外でも活発だ。“聖地”として知られる米国のシリコンバレーのほか、中国の深圳、シンガポール、フランスのパリなどにも世界中から起業家が集まり、エコシステム(複数組織が共存共栄する仕組み)が生まれつつある。特に仏は国策「フレンチテック」の下、国主導でエコシステム発のオープンイノベーションを起こそうとしており、日本の後れを危惧する声もある。

 とはいえ日本のベンチャーは医療、モノづくり、バイオなど専門性の高い領域で海外から高評価を受けることが多い。第4次産業革命ではデジタル化によりこうした領域の変革が本格化し、ベンチャーの活躍機会も増える見込み。日本はブランドやエコシステムの構築では後れを取ったものの、挽回のチャンスは十分にある。
(藤崎竜介)

MUJINなどが構築した全自動商品配送ライン

J-スタートアップ

日刊工業新聞2018年6月12日

梶原 洵子

梶原 洵子
06月12日
この記事のファシリテーター

日本でもさまざまな地域や企業などがベンチャー支援を進めてきました。今回は、政府や大企業、ベンチャーキャピタル、アクセラレーターなどが相乗りして取り組むようです。規模がいい意味で働き、フランスのフレンチテックのように、全体のベンチャー支援を引っ張る取り組みになってほしいです。

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