次々オープン・改装予定なのに、首都圏で「ホテル不足」のワケ

14年の全国の客室稼働率は過去最高、東京と大阪では連日ほぼ満室

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東京・大手町に開業したアマン東京のロビー
外国から日本を訪れる訪日外国人数が、2014年に続き、過去最高の水準で推移する中、14年の宿泊施設の稼働率も、全国で58・4%と過去最高を記録した。中でも東京と大阪の稼働率は81%を超え、大都市のホテル不足が問題となっている。ホテル需要の拡大を当て込み、国内外のホテルチェーンが東京を中心に新たな宿泊施設を開業しているものの、建設コストの上昇もあり、需要の拡大に追いつかない状況が続いている。
 

予約が取れないだけでなく、宿泊料も高騰


 観光庁の「宿泊旅行調査」によると、14年の全国の客室稼働率は過去最高を記録し、中でも東京が81・5%、大阪が81・4%となっている。これは東京と大阪の宿泊施設が、連日ほぼ満室の状態であることを示しており、こうした数字からもホテルの予約が取りにくくなっている現状が見てとれる。
 ここ数年の客室稼働率の推移をみると、訪日外国人数が800万人を超えた12年に前年比で約3ポイント上昇し、その後も訪日外国人数の拡大に合わせて、上昇が続いている。15年の訪日外国人数は5月末時点で750万人を突破しており、足元ではさらに宿泊施設が逼迫(ひっぱく)しているとみられる。
 プリンスホテルの15年3月期の外国人宿泊客は、前期比24・0%増の87万1174人と大幅に増えた。訪日外国人は宿泊料の水準が比較的高いため、平均客室単価は同7・9%増の1万2960円と利益を押し上げた。予約が取れないだけでなく宿泊料の高騰も進む。
 
■東京五輪コスト高/開業ラッシュも解消に時間
 こうした市場環境を背景に、ホテル事業の拡大を打ち出す企業も増えている。藤田観光は4月に東京・新宿のコマ劇場跡地に「ホテルグレイスリー新宿」を開業。総客室数は970室で、宿泊主体の大型ホテルとなる。藤田観光は総客室数1600室の新宿ワシントンホテルも改装する計画で、訪日外国人のニーズに合わせ、ツインルームを増やす。

 ただ、厚生労働省が公表している東京のホテルの総客室数をみると、13年度は9万7879室で、前年度に比べ、伸び率は2%程度。訪日外国人の伸び率には遠く及ばないのが現状だ。今後についても、20年の東京オリンピック・パラリンピックの建設需要などを背景に、建設コストの上昇が続いており、新たな宿泊施設への投資には、慎重な企業も多く、ホテル不足の解消には時間がかかりそうだ。
 
■外資系も進出
 東京都心では、外資系高級ホテルの進出も相次いでいる。14年6月には、東京・虎ノ門の虎ノ門ヒルズに米ハイアットグループの「アンダーズ東京」が開業。またシンガポールに拠点を置く、アマンリゾーツは14年12月、大手町の「大手町タワー」に「アマン東京」を開業した。

 アマンリゾーツはアジアのリゾート地を中心に27軒のホテルを運営。都市型ホテルとしてはアマン東京が初めてとなる。アマン東京の浅井信一路副総支配人は、初の都市型ホテルを東京に開業した理由を「訪日外国人の拡大が今後も続く中で、新たな顧客層の開拓に東京がふさわしかった」と話す。現在は日本人と外国人の比率は半々だが、長期的には外国人の比率が伸びるとみている。

 このアマン東京のすぐそばに建設中なのが、星野リゾートの「星のや東京」だ。三菱地所の「丸の内再構築プロジェクト」の一環で、16年に完成予定となっている。星のや東京は、大手町の中心に建つ、地下3階、地上18階の「日本旅館」。畳の客室や温泉なども備え、宿泊客は館内を浴衣で歩けるようにする。
 

ウエディングなど手がけず、宿泊に特化


 16年には大手町で星のやとアマンが至近距離でにらみ合うことになるが、共通しているのは、ウェディングやコンベンションを手がけず、宿泊に特化している点だ。東京オリンピック・パラリンピック開催を控え、外国人観光客が増える東京は、外資系の高級ホテルチェーンにとっても魅力的な市場で、今後も都心の再開発に伴い、進出があるとみられる。同じ16年には、プリンスホテルが東京・紀尾井町に「ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町」を開業する。
 
■東京から地方へ
 アマンリゾーツはアマン東京を皮切りに日本での事業拡大を進めており、三重県志摩市への進出も決定している。三井不動産が自社で運営する「合歓の郷」に誘致したもので、首都圏のホテル不足や地方創生などの点からも、こうした動きが加速しそうだ。
(高屋優理)

日刊工業新聞2015年07月10日深層断面より一部抜粋

COMMENT

昆梓紗
デジタルメディア局DX編集部
記者

五輪に向けて建設ラッシュの首都圏ホテル。一泊料金が軒並み高いのでびっくりしました。五輪後、客足が引かないと良いですが…

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