商社出身の学長が産業にくまなく目を通す「チバイチバン」

敬愛大学学長・三幣利夫氏インタビュー

 西郷隆盛の遺訓である「敬天愛人」を建学の精神に掲げる敬愛大学。理念に基づき、学生へのきめ細かな働きかけによるキャリア教育に力を入れている。4月からは拠点である千葉の地域産業との連携を強めるため、経済学部経営学科に地域産業コースを設立した。系列の敬愛学園理事長も務め、グループをけん引する三幣利夫学長に取り組みを聞いた。

 ―入学者数の推移状況と今後をどう見ていますか。
 「当大は国際学部と経済学部のみの小規模な大学。ここ3年は定員を超える入学者がおり、この勢いが持続できれば良いが、18歳人口の減少の中で楽観はできない。地域に真に必要とされる大学でなければならないと改めて考えている」

 ―開設した地域産業コースの特色は。
 「講師に企業経験者や日本貿易振興機構(ジェトロ)の出身者などを採用している。地域課題を踏まえ、新しい仕事にどう取り組むかなど起業家マインドを育てたい。現在、授業科目としてスタートしており、来年には今1年生の学生が専攻コースとして選べる。地域産業にとって人材確保は大きな課題。フィールドワークなどを採り入れ、特に千葉市から東側や南側など人口が減少していく地域に目を向けた取り組みもしたい」

 ―副専攻として学べるエアポート成田地域産業学も3年前からスタートされています。
 「空港関連で職を求める学生向けにキャリアセンター主導でやっていたプログラムを発展させてきた。エアラインや物流、サービス、観光など成田には多様な産業があり、それに合わせた語学やインターンシップ(就業体験)など実践的な内容が特徴。特に第3滑走路の建設が決まり、飛行機の発着回数は現在の年間約30万回から50万回になる。成田で働く人材を育てる重要性はこれまで以上に高まる。このモデルが地域産業コースの設立にもつながっている」

 ―キャリア教育で大切にしているものは何ですか。
 「底力と伸びしろを持つ人材を育てるのが目標。当大では、チームワーク、バイタリティーなどの頭文字をとった“チバイチバン”という独自プログラムを採り入れている。偏差値などの従来のものさしとは違う指標で人間力を高める基礎作りに取り組んでいる。今後のキャリア教育は高校からの視点も大事だろう。その意味では、系列校だけでなく地域の公立高校との連携も深めていきたい」
三幣利夫氏

【略歴】さんぺい・としお 68年(昭43)一橋大経卒、同年住友商事入社。06年日本貿易会常務理事、11年敬愛大教授、12年学長。千葉県出身、72歳。

日刊工業新聞2018年5月17日

日刊工業新聞 記者

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05月17日
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三幣学長の前職は商社勤め。海外駐在も数多く経験したことから、千葉の産業にくまなく目を通し、先に必要な人材を思い描いている。支える教員陣にも民間経験者が増えている。偏差値などとは違う新機軸で学生をサポートする仕組みの構築と地域連携を積み重ね、ユニークな立ち位置で千葉産業界への刺激となれるのか注目していきたい。(千葉支局長・篠瀬祥子)

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