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<矢島里佳の新聞clip7.10号>「町工場があってよかった」と言える日本に

モノづくり国内回帰の機運の中で、次世代への継続を重視しよう
 連載中の「和える」の矢島里佳代表の新聞clip

 1週間の日刊工業新聞の記事の中から3本、気になった記事をセレクト。新聞ならではのセレンディピティー(何かを発見する能力、偶然をきっかけにしたひらめき)の楽しさを伝えて頂きます。

 みなさん、こんにちは。矢島里佳です。
 ウェブニュースは1つずつ興味のあるニュースを読める閲覧性の高さは魅力的です。
けれども、偶然に出会う記事たちが、自分の興味や人生に強く影響をあたえる面白さは、紙新聞ならでは。デジタルの時代だからこそ、アナログの面白さにも気がつく。双方の魅力を和えながらニュースと向き合っていければと思います。

 今週、選んだのはこの2本です。
 ●北大が産学連携で推進機構(まず「食と医療」で共同研究=7月3日付)
●町工場は心強い(IKAジャパンの新田社長の座標軸=7月6日付)

 「本社の周囲に町工場がたくさんあってよかった」
 日本のものづくり、多くの企業が安い労働者を求め、世界に出て行きました。その結果、今、国内でものづくりができる企業が減ってきています。しかし、海外の賃金上昇、生産数の落ち込みによる、ものづくり国内回帰の機運が高まる中、残された企業の数で対応できないという現状もあります。短期的な目線ではなく、次世代への継続を重要視し、日本でのものづくりを続けられる環境を、大切にしていきたいと日々、和えるも取り組んでいます。

町工場が心強い


 「本社の周囲に町工場がたくさんあってよかった」と笑うのは、IKAジャパン(大阪府東大阪市)社長の新田隆さん。同社はドイツのラボ用汎用機器メーカーの日本法人だ。

 製品はドイツから輸入しているが、将来は一部機器の日本生産も視野に入れる。「生産の一部を委託する先として、東大阪の町工場は心強い」。

 関西に本社を置く理由は「創業したドイツ人の先代社長が留学でやってきており、土地勘があった。奈良で創業後、縁あって東大阪にきた」。せっかくの縁、生かさない手はない。

北海道大学産学 地域連携協働推進機構長インタビュー


 北海道大学は産学連携の新たな形を推進するため、4月に「産学・地域協働推進機構」を発足させた。企業や自治体などと組織としての連携強化や北海道の強みを生かした研究も進める。理事・副学長で同機構長の川端和重教授に発足の背景や取り組みなどについて聞いた。
 
 ―機構を発足させた理由は。
 「産業界との連携を新しい形でステップアップさせるため、発展的にシステムから見直した。これまでの産学連携は企業と大学の一研究者だけになることも多く、先へ進めるにはお互い新たな経営判断が必要になってしまう。成果自体も出にくかった」

 ―組織での連携が重要ということですね。
 「組織としての企業と大学が同じ立場で、最後に何ができるかを一緒に考えるため、産業創出部門制度を設けた。企業と大学の研究グループが共同研究する際、我々が産学協働マネジメントとして資金を管理し、ゴールや期間をはっきりとさせて取り組む体制にした」

 ―機構内には産学推進本部のほか、FMI推進本部も設け、食と医療を融合させた研究拠点「フード&メディカルイノベーション国際拠点」(FMI)を開設しました。
 「『北大と言えば』というランドマークをつくることが重要で、第1のテーマがFMIだ。北海道は食、医療とも得意分野だが、一緒に研究に取り組むことで一層、社会の課題解決に向かうはずだ。国のセンター・オブ・イノベーション(COI)プログラムとして、企業や自治体などと連携し、高齢化に対して、食やネット、病院などを活用した実証事業を進める」

 ―注目する分野はありますか。
 「北極がもう一つの柱だ。4月に北大内に北極域研究センターを開いた。北海道は水産や環境科学も得意分野だが、それぞれが研究を進めるだけでなく、北極という世界的課題に力を合わせて取り組む。将来、北極を通じた航海路などで北海道が一大拠点になれる可能性もある」

 【記者の目/企業と大学の役割明確に】
 組織対組織で連携することは、企業と大学のそれぞれの役割が明確になり、実際の成果につながることが期待される。新たな北大の価値創出に向けた研究もそれを後押しすることだろう。今後は、全国的にみて弱いとされている北海道のモノづくり分野との連携を進めてほしい。
 (文=山岸渉)
矢島里佳
矢島里佳 Yajima Rika 和える 代表
北大の取り組み。大学と企業が連携し、生きた研究が増えることに期待。和えるも、今後、研究機関との共同研究を始めたいと考え中。伝統産業と感性価値の研究を進めていければと思っています。

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