市場の食い合いさらに激しく、スーパーは「新業態」で生き残りなるか

グロサリーとレストランを組み合わせた「グローサラント」広がる

 スーパーマーケットによる“陣取り合戦”が激しくなっている。スーパーの商品は食料品や日用品など日々の生活に密着しており、「消費者の根強い節約志向」(井上淳日本チェーンストア協会専務理事)の影響を受けている。ネット通販やドラッグストアなどとの競争も厳しくなっており、各社、連携や新しい業態の拡大で、存在感を維持しようと躍起になっている。

仕入れ統合で価値向上


 特に目立った動きをみせるのは、セブン&アイ・ホールディングス(HD)だ。4月には、西日本でスーパーやショッピングセンターを展開するイズミと業務提携した。セブン&アイHD傘下でスーパーを運営するイトーヨーカ堂(東京都千代田区)とイズミとの間で、仕入れの統合などに取り組む。

 イトーヨーカ堂の店舗は東日本が中心。伊藤順朗セブン&アイHD取締役常務執行役員は「同じGMS(総合スーパー)を運営しているが、地理的に補完関係にあるイズミとの提携は両社の企業価値向上につながる」と話す。

 3月には、食品スーパー「Odakyu OX」を運営する小田急商事(川崎市麻生区)や、小田急電鉄との業務提携に基本合意した。セブン&アイグループのプライベートブランド「セブンプレミアム」をOdakyu OXで販売することを検討するほか、店舗オペレーションやマーチャンダイジング(MD)の連携、人的交流を視野に入れる。

店舗をダブルブランド化


 協業によって、大幅に店舗を作り替え、再生を図るのは、ユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)傘下のユニー(愛知県稲沢市)だ。ユニー・ファミマHDは2017年にドンキホーテホールディングス(HD)と締結した資本業務提携に基づき、ドンキホーテHDにユニー株の4割を売却。ユニーの「ピアゴ」「アピタ」ブランドで営業していた6店舗を改装し、18年2月から順次、ドン・キホーテとのダブルブランドで再開業した。

 ダブルブランド店舗はユニーとドン・キホーテ双方のノウハウを注入したとしている。だが、MDや内装などはドン・キホーテそのもの。6店舗の改装効果についてユニー・ファミマHDの高柳浩二社長は「3月の売上高は前年同月比2・5倍と、計画を上回り、順調に推移している」と話す。19年以降にダブルブランド店舗の拡大を見込む。

 イオンは食品スーパーで「ダイエー」「マックスバリュ」など多様なブランドを傘下に持つ。20年に向けこれらのブランドを統合し、消費者の低価格志向や、地域に合わせた品ぞろえに迅速に対応できるようにする。

小型GMSに積極展開


 スーパー業界で広がっているのが、グロサリー(食品雑貨)とレストランを組み合わせた業態「グローサラント」だ。食品売り場で買った商品を食べられるイートインスペースの機能に加え、その場でサンドイッチや総菜などを提供する。

 イオンはグローサラントやコミュニティースペースを取り入れた、売り場面積3000平方メートル程度の小型GMSを積極的に展開する方針を掲げている。

 新店や改装店のスーパーには、買った商品を食べられるスペースを設けている。コンセントもあり、長居もできる雰囲気にしているのが特徴だ。スペース自体が、大きな売り上げを生むわけではないが、店舗全体の活気作りにつなげる狙いだ。

 イトーヨーカ堂も店内で調理したパンや作りたての海鮮丼を提供し、店内でも飲食可能な「食品強化」のモデル店を設け、客数や売り上げを伸ばしている。「場」や「作りたて」を提供できるのは、ネット通販にはない強みだ。

コンビニ・ドラッグストアは?


 一方、コンビニエンスストアやドラッグストアは店舗網や営業時間の長さを生かし、スーパーの顧客獲得を狙う。

 コンビニで販売している総菜は従来、つまみとしての需要が多かった。ローソンでは夕飯などのおかずとしてのニーズを狙い、唐揚げやコロッケをパックに詰めて平台に並べたり、健康を気にする人向けにサラダなどの品ぞろえを増やしたりしている。

 ドラッグストアでも弁当や生鮮品を扱う店舗が増えており、スーパーの代替として利用してもらえる店舗づくりで包囲網を敷く。
(文・江上佑美子)

日刊工業新聞2018年5月10日

葭本 隆太

葭本 隆太
05月10日
この記事のファシリテーター

イートインスペースは軽い食事をとるときには便利なので私はよく使いますし、イートインスペースがあるからこそ立ち寄る人も多いような気がします。それが陳列などのスペースを減らしてもイートインスペースを設ける理由なのでしょうか。

この記事にコメントする

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。