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クリスティアーノ・ロナウドの「クローン」完成―最新技術と匠の技癒合

3Dスキャン、3Dプリンターを使い短期間で高品質を実現
クリスティアーノ・ロナウドの「クローン」完成―最新技術と匠の技癒合

クリスティアーノ・ロナウド選手とサイバー・クローン

**本人も唖然…リアルすぎる「クローン」
 3Dプリンター製造・販売を行う米ストラタシスの日本法人、ストラタシス・ジャパンは、ハリウッドの特撮工房レガシー・エフェクト社と共同でクリスティアーノ・ロナウド選手の等身大「サイバー・クローン」を製作した。ロナウド選手は美容機器メーカーMTGのEMSトレーニング機器「SIXPAD」の開発パートナーであり、同製品のプロモーションとしてサイバー・クローンが製作された。

 ただの等身大フィギュアではなくサイバー・クローンというだけあって、本物に近い質感と動きがある点が特徴。自身のサイバー・クローンと初対面したロナウド選手はあまりのリアルさに驚き、しばらく言葉を失ってまじまじと眺めていた。「目が動くなんて信じられません。似てないと言ったら嘘になります。完璧です。気に入りました」(ロナウド選手)。
 眼球と目の周りの筋肉には「アニマトロニクス技術」が導入され、生身の人間のようなまばたきと目の動きを可能にした。また、SIXPADを装着した腹部、上腕部、大腿部はスケルトンで、表層にシリコン素材を使用し、内部には筋繊維を表現。製品動作時の筋肉の動きが可視化されており、動作に合わせて動き、LEDが発光する。

最新技術を使い短期作成


 サイバー・クローン製作にあたり、ロナウド選手を110台のカメラで3Dスキャン。細かな部分は手作業で採寸し、多忙なロナウド選手に合わせすべての採寸を40分で終了した。その後ストラタシスの3Dプリンターを使い、スキャンデータからマスターモデルを作成。マスターモデルからクレイモデルを作成し、手作業でシワなどの詳細情報を追加し最終クレイモデルを作成した。表層部は皮膚の感触に近いシリコン製。レガシー・エフェクト社の特殊メイク技術を駆使し、毛穴やホクロまで1つひとつ再現した。髪の毛や眉毛は一本ずつ植えこんだ。前述の可動部位の腕と脚のパーツは、ストラタシスの3Dプリンターでポリジェット素材を使い造形。内部の機構部品にも3Dプリンターで製造した部品が使用されている。

 スキャンから完成までは約3カ月半。3Dプリンターなどの最新技術と、レガシー・エフェクト社の匠の技が組み合わされ、高品質なカスタマイズ製品を短期間で完成させることができたという。レガシー・エフェクト社で今回のプロジェクトの指揮を執ったジェイソン・マシューズ氏は「もし3Dスキャンや3Dプリンターを使わなかったら、顔の作成だけでも2週間以上はかかっていただろう」と話す。また、アニマトロニクス技術を担当したデイビッド・コバルビアス氏は「スキャンデータがあることで、造形工程と同時進行でメカ工程の設計・製作を進めることができた」と、製作をコンカレントに進められた点を評価した。
 今後、ストラタシス・ジャパンとレガシー・エフェクト社は日本で同様の事例を展開していく予定。
ニュースイッチオリジナル
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
まばたきや視線を動かす様子が何ともリアルで、人が固められているようでした。 レガシー・エフェクト社はハリウッドではジュラシックパークシリーズなど名だたる映画を手掛けていますが、日本では「アフラック」のCMでおなじみのアヒルも手掛けているそうです。

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