いよいよ中小企業が医療機器市場で活躍を始めた!
部品や加工単価高く受注も安定。海外開拓も視野に入れる企業も
医療機器市場で事業拡大を狙う中小企業が増えてきた。国も経済のけん引役と位置づけて産業育成を支援しており、部品や加工を手がける中小企業が参入することで産業のすそ野が広がっていく。商品サイクルが長い医療機器向けの部品は自動車や家電向けに比べれば数量は少ないものの、単価が高く受注も安定している。中小企業にとって魅力の市場だ。
【操作負担軽減】
大阪自動電機(大阪市旭区)は医療機器用のフットスイッチを開発し、9月から販売を始める。医療機器に搭載しやすくするため、外観やデザインに配慮し耐久性なども高めた。医療機器の使い勝手を高め操作負担を軽減するためフットスイッチの利用が増えているが、医療機器メーカーが内製化するケースは少ない。「医療機器向けの需要は安定的に伸びる。フットスイッチ総合メーカーとして専用製品で市場を開拓する」(松本浩二大阪自動電機営業部兼国際業務担当)と意気込む。
【デジタル化】
パルス部品専門メーカーのジェーピーシー(東京都中野区)も医療機器向けの事業が伸びてきた。医療機器はデジタル化やネットワーク化が急速に進む。機能や搭載部品が切り替わることは中小企業にとって大きなビジネスチャンスだ。
同社は医療機器のLAN環境の強化絶縁対策用に高耐電圧トランスモジュールなどを大手メーカーに提供し、売上高の2―3割を医療機器分野が占める。「最近は中小企業からの受注も増えている」(伊藤博明ジェーピーシー営業部営業課主任)という。
医療機器専門にケーブルを提供するタヤインターナショナル(大阪府吹田市)も「新規参入する企業からケーブル設計の相談を受けることが多くなってきた」と市場拡大を実感する。
アルミ部品の精密加工を得意とする蒲郡製作所(愛知県蒲郡市)は自動車向け部品加工を手がけて事業を広げてきたが、コスト削減の対応などが厳しくなってきた。大手医療機器メーカーへの部品提供は継続しており、事業配分を見直す。
国や自治体も医療機器など成長分野への事業進出を積極的に推進する。ただ、伊藤智啓蒲郡製作所社長は「1万―10万個つくっていた部品が、医療機器では100個になるなどモノのつくり方が違う。生産の段取り替えなどにしっかり対応できなければ成功しない」と強調する。
【自社製品も】
自社製品開発も事業拡大の近道だ。テープ加工を手がけるエコー電気(福島県川俣町)は加工技術を活用し、ドライアイ検査器具を開発した。下眼瞼(けん)に中空チューブ構造のテープを挿入し涙液分泌機能を診断するもので、従来に比べ痛みが少なく、検査時間も5分から5秒に短縮できる。今後国内で普及を目指すほか、韓国、シンガポール、台湾での事業準備が整い、海外進出の道も開けた。
(文=宮川康祐)
【操作負担軽減】
大阪自動電機(大阪市旭区)は医療機器用のフットスイッチを開発し、9月から販売を始める。医療機器に搭載しやすくするため、外観やデザインに配慮し耐久性なども高めた。医療機器の使い勝手を高め操作負担を軽減するためフットスイッチの利用が増えているが、医療機器メーカーが内製化するケースは少ない。「医療機器向けの需要は安定的に伸びる。フットスイッチ総合メーカーとして専用製品で市場を開拓する」(松本浩二大阪自動電機営業部兼国際業務担当)と意気込む。
【デジタル化】
パルス部品専門メーカーのジェーピーシー(東京都中野区)も医療機器向けの事業が伸びてきた。医療機器はデジタル化やネットワーク化が急速に進む。機能や搭載部品が切り替わることは中小企業にとって大きなビジネスチャンスだ。
同社は医療機器のLAN環境の強化絶縁対策用に高耐電圧トランスモジュールなどを大手メーカーに提供し、売上高の2―3割を医療機器分野が占める。「最近は中小企業からの受注も増えている」(伊藤博明ジェーピーシー営業部営業課主任)という。
医療機器専門にケーブルを提供するタヤインターナショナル(大阪府吹田市)も「新規参入する企業からケーブル設計の相談を受けることが多くなってきた」と市場拡大を実感する。
アルミ部品の精密加工を得意とする蒲郡製作所(愛知県蒲郡市)は自動車向け部品加工を手がけて事業を広げてきたが、コスト削減の対応などが厳しくなってきた。大手医療機器メーカーへの部品提供は継続しており、事業配分を見直す。
国や自治体も医療機器など成長分野への事業進出を積極的に推進する。ただ、伊藤智啓蒲郡製作所社長は「1万―10万個つくっていた部品が、医療機器では100個になるなどモノのつくり方が違う。生産の段取り替えなどにしっかり対応できなければ成功しない」と強調する。
【自社製品も】
自社製品開発も事業拡大の近道だ。テープ加工を手がけるエコー電気(福島県川俣町)は加工技術を活用し、ドライアイ検査器具を開発した。下眼瞼(けん)に中空チューブ構造のテープを挿入し涙液分泌機能を診断するもので、従来に比べ痛みが少なく、検査時間も5分から5秒に短縮できる。今後国内で普及を目指すほか、韓国、シンガポール、台湾での事業準備が整い、海外進出の道も開けた。
(文=宮川康祐)