欧米の工具メーカーを立て続けに買収したOSG、背景にボーイングあり

下請け広がり身売り増える、ジョブショップとの関係構築へ

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CFRPなど複合材加工用工具
 切削工具メーカーは、航空機の安全を縁の下で支える存在だ。切削工具の加工精度は、機体部品の品質や信頼性に直結する。愛知県豊川市の切削工具大手OSGは、航空機産業が盛んな欧米で、部品加工を担う中小製造業にアプローチをかけている。

 「米国ではジョブショップ(中小加工業者)向けに展開できている」―。石川則男社長は、そう自信を見せる。同社連結売上高に占める航空機向け比率は約1割だが、米国に限れば2割を超える。航空機部品を加工するジョブショップとの信頼関係を構築しているのが強みだ。

 下地にあるのが、世界の航空機産業との協力関係だ。OSGは英国にある産学連携の航空機研究機関「AMRC」に2013年に参加し、15年には中心メンバーである「ティア1」に昇格した。80社以上の参加企業の中でティア1は20社ほどで、日本の切削工具メーカーではOSGのみだ。石川社長は「航空機産業のトレンドがわかる」と参加の意義を挙げる。

 ただジョブショップは地場工具メーカーとの関係が深い。石川社長は「当社製品に変えるメリットを理解してもらう必要がある」と説く。他社との違いとしてチタン、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)など採用が拡大する難削材の加工技術を打ち出している。

 ジョブショップとの関係強化のため、地場工具メーカーの買収も進めている。直近3年間で、航空機関連の欧米企業4社を傘下に収めた。各社が持つジョブショップとのパイプを生かす狙いだ。

 買収先の規模は売上高20億円、社員100人ほどまでと決め、今後も続ける方針。「先方から売り込んでくることもあり、候補は多くある」(石川社長)という。

 背景には米ボーイングなど航空機大手の下請けが従来より広がり、対応できなくなった地場工具メーカーが身売りを検討し始めていることがある。同社は、こうした潮流に乗り、航空機産業での存在感をさらに高める。
(文=名古屋・戸村智幸)

日刊工業新聞2018年4月16日

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ねじ切り工具のタップの世界シェアは約3割で、世界一を誇る。世界33カ国に拠点を持ち、うち17カ国で製造する。17年11月期の売上高は1201億円、当期利益は139億円で、いずれも過去最高を更新した。売上高の自動車向け比率は5割を超えるが、航空機向けを第2の柱に育てる方針。 (日刊工業新聞名古屋支社・戸村智幸)

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