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「SDGs」を市場予測に活用して新事業を創出せよ

採択3年目、ブームで終わらせないために
「SDGs」を市場予測に活用して新事業を創出せよ

16年に富山で開いたG7環境相会合でもSDGsについて着実に実施することを確認した

 国連が定めた2030年目標「持続可能な開発目標(SDGs)」への取り組みを宣言する企業が増えている。ブームで終わらせないために、SDGsを市場予測に活用し、技術革新や新規事業の創出につなげたい。

 SDGsは社会、経済、環境の課題を解決した「理想の世界像」をまとめたものだ。貧困、食糧、気候変動、災害対策など17分野にわたる目標がある。16年1月にスタートし、18年で3年目に入った。

 日本では昨年から急速に認知されるようになった。達成への貢献を報告書に記載したり、自社のウェブサイトで発信したりする企業が目立つ。

 受け入れられた理由はいくかある。まず、経営理念の再確認に使えること。SDGsは、国際社会が解決が必要と認識した課題をまとめたものだ。理念が17の目標のどれかと一致していると、自社の存在意義を社外に伝えやすくなる。

 誰もが参加できる点も大きい。普段の業務が目標に当てはまることが多く、新たな活動を始めなくても良い。国連広報センターの根本かおる所長は「17個も入り口(目標)があるので参加しやすい」と表現する。

 今は理念や事業とSDGsの関係を整理した段階であり、次は経営戦略に反映する番だ。目標12(消費・生産)にある「食品廃棄を半減」は、AIを使った需要予測による食べ残しの削減、目標13(気候変動)の「自然災害からの復元力強化」は、防災ビジネスの広がりを予想させる。

 目標17「パートナーシップ」も意識したい。地方創生に取り組む自治体との連携、途上国で活躍するNGOとの協業など、従来にない相手との協力関係がニーズを知るきっかけとなり、そこから新規事業が生まれる。

 SDGsを読みこなすと、事業の将来性を検討できる。投資家にも自社の将来性を発信できるようになる。

 「事業を通した社会貢献」を経営理念に掲げる企業は多い。SDGsを参考に、本業の強みを生かした貢献に磨きをかけてほしい。
日刊工業新聞2018年1月17日
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
最近、SDGsが受け入れられた理由を良く聞かれます。SDGsは社会からの要請です。理念とSDGsが合致していれば、自社の存在価値を再確認できます。経営理念が世界目標とつながっていれば、従業員の意識も高まります。またロゴを無料で使える手軽さもあります。そしてロゴをつけた企業同士に仲間意識も生まれるのでは

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