下請けいじめ、警戒強まる―支払い遅延・減額、目を光らす企業庁

悪質発注企業は公取に措置請求

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近畿経産局内の下請取引適正化推進室
 原材料や電気代の上昇で中小製造業の利益確保が厳しくなっている。そんな中、下請け取引の公正化に中小企業庁が発注先である親事業者に立ち入り検査をしていることはあまり知られていない。適正な利益を守る下請け取引検査の現状を関西の窓口である近畿経済産業局の下請取引適正化推進室に聞いた。

総額4億7000万円の返還指導


 下請け取引の公正化を図る下請代金支払遅延等防止法(下請代金法)は、1956年(昭31)に独占禁止法の補完法として制定された。親事業者(発注者)を下請事業者(受注者)に対し「優越的地位」にあるとし、下請代金の減額などの11項目を優越的地位の乱用行為として禁止し、親事業者に対して書面交付義務などの行為義務を課した法律だ。企業庁は書面調査や立ち入り検査を実施し、違反の場合は改善指導するほか、悪質だと主管の公正取引委員会に措置請求して勧告、企業名を公表している。

 13年度は全国で約26万件の書面調査を実施し、1件を公取委に措置請求した。禁止行為違反の約70%を支払い遅延と減額が占め、親事業者319社に総額4億7000万円の下請事業者への返還を指導した。全国48カ所の「下請かけこみ寺」では、4982件の相談を受け、弁護士が相談711件と裁判外紛争解決手続きの調停申し立て33件を受理した。

立ち入り検査続く


 近畿経産局でも、資料提供を事前に求め、立ち入り検査時に帳簿と照合し、親事業者に課せられた四つの義務と11の禁止行為を調べ、下請け取引が適正かどうかを調査している。「守秘義務があるため、検査する社数、内容、時間など公表できず、世間には我々の仕事が知られていないが、関西では10人以下の検査官が年間一定数の企業を検査している」(原田敏行室長)と語る。

 企業庁は昨年、円安や燃油代などの高騰を機に、全国500社で立ち入り検査をした。今年度も同様の検査を実施する。さらに自動車や鉄鋼など16業種別の取引慣行などを示した下請け取引ガイドラインは14業種でコスト増に関する項目を加え、改定した。今年度はこれらを業界団体に周知するほか、全国で講習会を500回開く。大阪ではさらに独自の講習会も予定している。「我々の存在自体が抑止につながる。経営者は下請代金法と下請振興法を順守してほしい」(同)と訴える。

 日本の持続的な発展には、下請事業者である中小製造業における適正な利益の確保が不可欠だ。親事業者である経営者の資質が今、大きく問われている。
(大阪編集委員・青木俊次)

日刊工業新聞2015年07月07日 中小企業・地域経済面

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昆梓紗
デジタルメディア局DX編集部
記者

知られざる「下請けいじめ」の検査。川下まで利益を確保できるよう、中小企業庁の戦いは続きます。

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