「緊縮策拒否」のギリシャ―日本経済のリスクはやっぱりあの国

中国の“株式バブル”はいよいよ弾けるか。外需頼みの成長戦略、景気下振れ懸念くすぶる

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日経平均株価は400円超下落した(東京・日本橋茅場町)
 欧州連合(EU)が求める財政緊縮策に対し、ギリシャは5日の国民投票で「ノー(NO)」を表明した。だが、開票結果を受けてEUや国際通貨基金(IMF)が緊縮策の緩和に応じる事態は想定しにくく、ギリシャ債務問題は暗礁に乗り上げたといえる。同国のユーロ圏離脱も現実味を帯びてきたが、一連の混乱が日本経済に及ぼす影響は限定的との見方が有力だ。むしろ実体経済の減速が懸念される中国の行方が当面の下振れリスクとしてくすぶり続ける。
 
 株価下落「想定内」
 「予測の範囲内」。菅義偉官房長官は6日の会見で、ギリシャ国民投票を受けた日本の株価下落をそう表現した。日経平均株価は2万円を割り込むような暴落はなく、麻生太郎財務相も同日、「日本とギリシャの直接の経済・金融上の関係は限定的」であることを強調した談話を発表した。

 「ギリシャ債務の約8割は欧州中央銀行(ECB)や国際通貨基金(IMF)などの公的部門が保有しており、ギリシャのデフォルト(債務不履行)によるダメージは同国外で起きていない。(財政問題を抱える)イタリアやスペインなどへの波及も限定的だ」と、第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストは指摘する。

 その上で「ECBが(財政緊縮策を承諾させるため)ギリシャの民間金融機関に行っている緊急流動性支援を停止する事態が考えられる。だがギリシャ政府もこれは避けたい意向で、債務問題の交渉はしばらく平行線を辿ると思う」と当面の動向を予測する。
 
 “見せ金”の存在
 最大5000億の資金支援能力を持つ欧州安定メカニズム(ESM)という“見せ金”の存在も、国際金融システムの安定を支えるとみられている。
 
 ギリシャのユーロ離脱がEU統合の歴史の針を後戻りさせるような最悪シナリオを除けば、日本経済にとって当面の懸念は中国経済の行方といえる。中国の個人投資家が銀行借り入れによって行った信用取引が中国株を乱高下させ、上海総合指数はこの数週間で約3割も暴落。同国政府は利下げや取引規制強化による株価下支えに動き、6日の上海総合指数は上昇したが、問題はこの“株式バブル”だけではない。

 投資主導の成長から安定成長への構造改革「ニューノーマル(新常態)」を推し進め、実質の成長率は7%を下回っているとの観測も市場でくすぶる。
 
 成長戦略、外需頼み
 アジアインフラ投資銀行(AIIB)の発足に象徴される外需頼みの成長戦略が、経済減速の現状を物語る。また欧州は中国にとって巨大な輸出相手地域でもあり、一層の経済減速が回復しつつある日本の対中輸出に影響を及ぼす可能性もある。

 緩やかながらも景気回復している日本経済。今後の景気の下振れリスクとして懸念されるのは、ギリシャ問題よりも、むしろ中国問題とみられる。

日刊工業新聞2015年7月7日深層断面一部抜粋

COMMENT

村上毅
編集局ニュースセンター
デスク

瀬戸際外交を続けるチプラス政権。賛否を二分するといわれていた国民投票もふたを開ければ、反対が6割で、事態の収束どころか、強気の政権運営を勢いづかせただけだった。希望的な観測も含めて影響は限定的と思いたい。

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