清掃や医療で相次ぐロボット製品投入 「次は農業」(サイバーダイン社長)

山海社長に聞く「『ソサエティー5・0』の到来を見据える」

 サイバーダインが製品を拡充している。2017年10月に最先端ロボット技術を駆使したロボットスーツ「HAL(ハル)」の要介護者など向け腰タイプ自立支援用を発売。18年3月には従来型より高速自律走行する清掃ロボットを発売した。不整脈や動脈硬化を検知するバイタルセンサーも今後市場投入する見通しだ。多彩な製品を市場に出すことで何を目指すのか山海嘉之社長に聞いた。
 
 ―新製品を相次ぎ投入しています。
 「当社にとって、基礎研究の成果を製品化して社会に投入するというフェーズが終わり次の段階に来ている。今後は人とロボット、情報系を融合複合した『サイバニクス技術』を産業化して世界に広げることが使命になる。各製品は別の仕事をしつつセンシングで情報を取得して通信でつながり、良質な各種データを集めてくれる。集めたデータを分析し、社会に役立つ新たなサービスや製品の機能向上に生かしていく」

 ―各製品がどういう役割を果たすのでしょうか。
 「清掃・搬送ロボットは建物内の状況を把握しながら清掃・搬送する。普段と異なる状況があれば、警備やビル管理の担当と共有できる。ハルやバイタルセンサーは人体の情報を得られる。特にバイタルセンサーは職場や家庭での使用が可能になれば、日常的な情報を高頻度で集められる」

 「ウエアラブル機器のように装着し続けなくても、一定の頻度でセンシングできれば得られる事柄は多い。高齢化が進む中で健康管理の重要性は増すばかりだ。併せて各製品が得たデータが重要になる。通信機能が高まればデータの扱いが容易になり、分析結果から適切な処理や製品へのフィードバックも可能だ。海外対応やサービス拡充にも活用できる」

 ―ハルのバリエーションが増しています。
 「腰タイプは足腰の弱った要介護者らの体幹や下肢機能の維持向上に利用する。介助なしで立ち座りできるように支援でき要介護者の生活の質(QOL)の向上につながる。一方で介護する側の身体的負担も軽減できる。ハルはサイズ別の製品拡充や、医療機器としての適用拡大も進めていく」

 「周りからよく『医療機器より非医療機器の分野の方が展開が早いのでは』という指摘を受ける。医療機器の分野は品質や性能、安全性などの要求が高い。ここで苦労して製品化できると、非医療機器分野での展開が早まる。かつ製品開発担当だけでなく、営業担当などさまざまな人材が成長するという利点もある」

 ―新しく挑戦したい分野はありますか。
 「少子高齢化による影響を受ける分野は数多い。そんな中、農業に目を向けると、コメやムギなどの穀物の栽培では機械化や自動化が進んでいる。一方で果実は手作業が中心で自動化は未着手といえる状態だ。あらゆる人やモノがネットワークでつながる『ソサエティー5・0』の到来を見据えると、農業分野はサイバーダインの技術が貢献できそうだと考えている」
山海嘉之サイバーダイン社長

(聞き手=石橋弘彰)

日刊工業新聞2018年4月4日

石橋 弘彰

石橋 弘彰
04月04日
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山海社長の描く未来は、サイバニクス技術によって日常生活、医療、産業といった広く社会全体の課題を解決していくというものだ。その実現に向けて外部との提携を積極化している。IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)の活用はパートナーを見つけた。今後どういった提携先と組むかで、サイバーダインの目指す先が見えてくる。

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