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「ハチ」の代わりになるか!?エスペック子会社が人工授粉装置に参入

京大、名古屋工大と共同開発。超音波の空気振動を利用し花粉を飛散
「ハチ」の代わりになるか!?エスペック子会社が人工授粉装置に参入

エスペックミックなどが開発中の超音波を利用した人工授粉装置

 エスペックミック(愛知県大口町)は、京都大学大学院農学研究科、名古屋工業大学と共同で果物や野菜の栽培時に用いる人工的な授粉装置の開発に乗り出した。超音波による空気振動を利用して花粉を飛散させることにより、非接触での均一な授粉が可能になる。温室や植物工場での利用を見込む。実証試験を進めており、2015年度中の実用化を目指す。

 開発中の授粉装置は複数個の超音波素子を搭載し、生産者が手に持てるタイプ。受粉させたい花に向けて花が共振する周波数の超音波を送る。果菜類の花の周辺の空気を振動させると花粉が飛散して、めしべに受粉する仕組みだ。人による手作業での授粉に対して受粉の具合にバラつきがなくなり、着果率(実がなる確率)を高められる。

 花から10センチ―20センチメートル程度離して使うのが通常だが、共振できるのであれば距離は自由に変えられるという。主に、イチゴやトマトを栽培する温室向けに提案する。受粉で蜂を使う場合には、人工光の環境では太陽光と異なり蜂がうまく飛ばず、蜂による受粉が難しい。今回の授粉装置は人工光型の植物工場にも使える。3者で特許を申請中だ。

 エスペックミックはエスペックの子会社で植物工場事業を手がける。同装置の研究開発は科学技術振興機構(JST)の14年度の助成事業に選ばれた。イチゴの栽培で実証試験をエスペック福知山工場(京都府福知山市)で実施している。
日刊工業新聞2015年07月02日 機械・ロボット・航空機面
加藤百合子
加藤百合子 Kato Yuriko エムスクエア・ラボ 代表
各地で農業の生産性を上げる取組みが展開されています。受粉は、ハチがになってくれれば一番楽なのですが、受粉ムラや夏になるとハチが飛ばない等課題があります。そこで、ホルモン剤を花一つ一つに人間が付けていくという効率の悪い作業を行っているところも多くなっています。今回の装置でハチも人の手も、そして、ホルモン剤も不要となれば素晴らしい。1点気になるのは、超音波が植物体に与える影響でしょうか。彼らは結構振動によるストレスを感じやすいようなので。

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