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映画「スティーブ・ジョブズ」新予告編、共同創業者ウォズニアック氏も評価

「ウォズ役のセリフは完全フィクション」「ジョブズの印象正しく伝える」
映画「スティーブ・ジョブズ」新予告編、共同創業者ウォズニアック氏も評価

ボンダイブルーで一世を風靡した初代iMacの発表シーン(予告映像から)

 ウォズニアック:君は何をした? エンジニアではないし、デザイナーでもない。ハンマーで釘を打つことさえできない。僕はサーキットボードを作れる。グラフィカルインターフェースは(ゼロックスPARCから)盗んできたものだ。それなのになぜ、僕は1日に10回も「スティーブ・ジョブズは天才」という記事を読むことになったんだ。君がいったい何をしたというんだ。

 ジョブズ:音楽家(エンジニアやデザイナー)は彼らの楽器を演奏する。僕はオーケストラを指揮するんだ。

 ウォルター・アイザックソンによる伝記をもとにしたユニバーサル映画「スティーブ・ジョブズ」の新しい予告編が7月1日にユーチューブで公開された。ジョブズの人生を余すところなく描いた原作とは異なり、彼の前半生での3つの大きな新製品発表イベントの舞台裏を中心に物語が展開。後のiPod/iTunes/iPhone/iPadでデジタル革命の立役者となった、ジョブズの人間ドラマとなっている。

 映画は30分ずつの3部構成とされ、ストーリーの軸となる製品発表は、(1)1984年の初代マッキントッシュ(2)アップルを追い出された後、1985年に創業したNeXT(ネクスト)で1988年に発表し現在のMacOSXのベースになったOSを搭載するNeXTキューブ(3)1997年の復帰後にアップルを立て直す原動力となったカラフルな初代iMac(1998年)の3つ。

 これらの発表イベントでの華々しさや熱狂とは裏腹に、ギリギリまで製品トラブルに見舞われ修羅場と化した舞台裏や、周囲を罵倒し時に激しく対立しながらも、困難に挑戦し、それを乗り越えていくジョブズの生き様が描かれる。高校時代からのガールフレンドとの間に生まれ、ジョブズが認知を拒んだ実の娘リサとの確執と和解も見どころかもしれない。

 ジョブズ役は「それでも夜は明ける」でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたマイケル・ファスベンダー。監督は「スラムドッグ$ミリオネア」のダニー・ボイル、脚本はフェイスブックの創設者らを描いた「ソーシャル・ネットワーク」のアーロン・ソーキン。初代マッキントッシュおよびNeXTの開発チームでジョブズを支えたジョアナ・ホフマン役として、ケイト・ウィンスレットも登場する。

 ジョブズは2011年10月5日に亡くなったが、そのほぼ4年後に当たる今年10月9日に全米公開予定。日本での公開日は明らかにされていない。

 ※アップル共同創業者のスティーブ・ウォズニアック氏は、この予告映像を見た感想について、ブルームバーグのインタビューにメールで回答した。

 その中で「自分はあんなことを話したことはない。グラフィカルインターフェースを盗んだことを責めたり、(天才という)名誉をジョブズが自分から奪ったといったことを口にしたことは絶対にない」と強調。ウォズニアック役のセス・ローガンが予告編の冒頭、ジョブズが名誉を独り占めしたとして詰問するシーンは、完全なフィクションだと指摘した。

 それでも、ジョブズの印象をだいたい正確に伝えているとして、この予告編が気に入ったという。「正確さはこのようなエンターテインメントの映画の場合、二の次だけどね」。映画が公開されたら見に行くとのことだ。
http://www.bloomberg.com/news/articles/2015-07-02/wozniak-says-scene-in-jobs-trailer-is-fiction-loves-it-anyway

 
ニュースイッチオリジナル
藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
アシュトン・カッチャーがジョブズを演じた2013年公開のインディペンデント映画とは、まったくの別物。こちらは大手のソニーピクチャーズが製作に乗り出し、「ソーシャル・ネットワーク」のアーロン・ソーキンが脚本を書くなど、以前から話題になっていた。ところが、ジョブズ役の候補俳優が次々と浮かんでは消え、ソニーピクチャーズから配給がユニバーサルに移るなど、難産に難産を重ねている様子。それだけに素晴らしい内容の映画となることを期待しています。

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