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軽自動車の燃費進化は止まらない!ダイハツの次世代「ミライース」は?

開発戦略を担当役員に聞く。リッター40キロめざし巻き返し図る
堀信介取締役専務執行役員久留米開発センターセンター長に聞く

 ―国内軽市場を見渡すと、売れている車種が必ずしも燃費が特別いいとは限りません。
 「走りやデザイン、広さ、価格など顧客のプライオリティー(優先事項)はさまざまだ。各メーカーの燃費改善が進んだいま、『燃費、燃費』と言っていた、かつての風とは違う風を感じている。ただ燃費の悪い車はけっして評価されないし、燃費基準が強化されつつある新興国への技術移転も考えれば、やはり開発の必要性は高い」

 ―開発の方向性は。
 「軽の顧客が何を望み、何に共感するか?ニーズは多様だ。コストなど“何か”を犠牲にする低燃費化はあまり考えていない。必然的にコンベンショナル(伝統的)な技術で、電気的なものを使うことはない」

 ―現在「ミライース」は1リットル当たり35・2キロメートル(JC08)。コンベンショナルな技術で40キロの実現は可能ですか。
 「理論的には可能だ。イーステクノロジーの3本柱である、パワートレーンの進化と車両の進化、エネルギーマネジメントの進化を突き詰める。エンジンで言えばメカニカルロスはまだ大きく、やり尽くせていない」

 ―既にイースはかなり軽量化しています。
 「次のイースに採用するかは別として、ダイハツには『タント』から始めた外板樹脂がある。『ウェイク』『コペン』を含め現在3車種。外板樹脂は軽量化のイメージが強いがそれだけではない。プレスでは不可能な立体的なデザインで付加価値も高まる」

 ―高張力鋼板(ハイテン)の採用拡大は。
 「より引っ張り強度が高いハイテンの効率的な加工技術の開発に着手している。量産が可能になれば、コストを抑制しながらハイテンの採用拡大が可能」 ―部品メーカーとの協業も必要です。
 「14年3月に一部稼働した久留米開発センター(福岡県久留米市)は、次世代パワートレーンやプラットフォームを開発することを目的とした拠点だが、グループ会社や部品メーカーと一緒に開発しようとしている。高い壁を乗り越えるには、開発の早い段階でベクトルをあわせることが重要だ」

 【記者の目/次世代ミライースに注目】
 抜きつ抜かれつの軽燃費競争。ミライースは14年7月の改良で燃費トップに立ったものの、同年12月にスズキが1リットル当たり37・0キロメートルの燃費性能を持つ「アルト」で抜き返した。燃費性能はユーザーニーズの一要素だが、メーカーの技術力を示す指標でもある。年内投入と目される次世代ミライースに注目が集まっている。
(聞き手=坂田弓子)
日刊工業新聞社2015年07月03日付自動車面
清水信彦
清水信彦 Shimizu Nobuhiko 福山支局 支局長
軽自動車の燃費競争では、現時点でスズキの先行を許しているダイハツ。しかしこのまま黙っているわけはなく、次のミライースではリッター40キロをめどにさらに抜き返しにかかってくるでしょう。秋の東京モーターショーでも話題になりそうです。 スズキの社長も代わり、ダイハツの九州開発拠点が本格稼働し、世代は移り変わっても、軽自動車の燃費競争は当分終わりを迎えそうにはありません。

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