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新たな決済革命を起こすか!?米ウォルマートが電子透かしの実証開始

大量販売品ならばICタグに比べ10分の1のコスト、バーコードよりも大幅に時間短縮
新たな決済革命を起こすか!?米ウォルマートが電子透かしの実証開始

Digimarcのホームページより

 ウォーターマーキング(電子透かし)は決済革命を起こすか―。世界最大の小売業、米ウォルマートストアーズが電子透かしを活用した決済の実証実験を開始した。

 現在、チェーンストアでは決済にあたってバーコードをスキャンして決済する方式が普及している。ICタグの実用化も一部で始まっているが、まだ高コストだ。しかし電子透かしは時間短縮と低コストを両立し現状では優位性のある決済手段だ。

 ウォルマートの電子透かしの実証実験は電子透かし技術を持つ米デジマークの技術を活用して行われている。店頭に並んだ商品のパッケージに印刷された電子透かしをスキャナーで読み取り、瞬時に決済することができる仕組みだ。

 デジマークの日本での製品開発パートナー、モニック(東京都渋谷区)によると「電子透かしのコストは大量に販売するような商品ならばICタグに比べ10分の1程度。しかもバーコードのようにいちいち探さなくてもスキャンでき、バーコードに比べ大幅に時間短縮になる」と、導入によるメリットをアピールする。

 チェーンストアでの決済手段ではICタグに関心が集まっている。しかし、低価格化が進んだとはいえ、まだ1枚当たりの価格は100円から数十円と、一つ数十円から数百円といった食品や日用品に貼付するには現実的ではない。このため、ウォルマートが実験を始めたこともあり、電子透かしへの期待は高まりそうだ。
日刊工業新聞2015年07月03日 建設・エネルギー・生活面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
もともとセキュリティ技術として利用されてきた電子透かし技術だが、今後は決済やマーケティングツールなど幅広い分野に広がっていく可能性がある。まだクリアすべき課題は多いが世界最大のウォルマートが乗り出すことはポジティブな要素になろう。

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