被災地の航空写真で二次災害防ぐ、空間情報ビジネスの可能性

アジア航測、次は赤色立体地図と深層学習を組み合わせ

 アジア航測は、「空間情報ビジネス」を手がける。航空機6機を保有し、上空から航空写真撮影や航空レーザー計測などであらゆる場所を測量する。噴火や地震、土砂災害の被災地だけでなく、災害が起こりそうな現場もいち早く見つけ出す。その情報を収集・解析技術を活用して国や都道府県、市町村、インフラ企業へ情報提供や提案することで、防災・減災の実現や地球環境問題の解決、都市づくりに寄与している。

 2011年3月、東日本大震災発生直後、同社は「災害対策本部」を設置、宮城県、岩手県、福島県と連絡を取りながら航空機を飛ばす航路を組み立てた。

 同社保有の航空機は東京都三鷹市の東京都調布飛行場と大阪府八尾市の八尾空港に格納してある。震災翌日には6機すべてが被災地で航空写真を撮影した。

 「人々が苦しい目に遭っているのになぜ生々しい写真を撮るのか」と疑問を持つ人もいるかもしれないが、小川紀一朗社長は「二次災害防止のためだ」と強調する。被災地の状況を把握し、的確な情報を内閣府や国土交通省、各自治体に提供することで、応急対応の判断材料になる。

 航空カメラやレーザーは価格が2億―3億円と高価な高精度機器を採用している。レーザー光が地面に反射して戻る時間で地形や距離を把握する。

 毎秒50万回のレーザー放射をして計測。上空1000メートルから計測しても陸上で15センチメートル、水上でも20センチメートルの誤差しかない。「現場はどんどん変化する。センシングは一瞬。そこに投資している」(小川社長)。

 インフラ保全に関わる「建設コンサルタント(防災)」も同社の事業の一つだ。例えば、09年には山口県防府市で豪雨災害により土石流が老人ホームを襲った。

 現場の写真を撮影し、土砂の発生源や到達速度を把握。再度土砂災害を起こさないために砂防ダムの設置や植林の計画・設計、完成後の能力も計測した。「最近は災害復旧でなく、改良復旧という言葉を使う。元に戻すだけでは再び災害が起きてしまう」(同)ためだ。

 同社は地形可視化技術「赤色立体地図」も開発。02年に特許を取得した。富士山の災害予測地図、防災地図作成の過程で生まれた技術だ。青木ケ原樹海にレーザー計測を実施。航空写真による地形図と別の地表が出てきた。航空レーザー計測を活用した手法で新たな噴火口を発見した。

 赤色立体地図は詳細な地形図を把握できる。土砂災害の場合、大きな崩壊が起きる地点には斜面の亀裂や段差など特徴がある。そのため、地滑り地形の特性の把握を見つけ出すことが重要だ。同社は技術者が判読していたものを自動で検出する取り組みを推進する。
開発した「赤色立体地図」。レーザーで詳細な地形を把握

(文=横浜・川口拓洋)

日刊工業新聞2018年2月12日

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
02月12日
この記事のファシリテーター

「精度は技術者が上回るが、ミスや明らかな地形特性を自動で検出することで技術者の負担を軽減する」(小川社長)ために、赤色立体地図とディープラーニング(深層学習)を組み合わせた新たな手法の検討に入った。

この記事にコメントする

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。