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ラオスが熱い!アデランスがウィッグで新工場。日系企業で最大の雇用規模に

大和産業はサブワイヤハーネス、西松建設は日本企業の進出を支援
ラオスが熱い!アデランスがウィッグで新工場。日系企業で最大の雇用規模に

アデランスのサワンナケート工場

 アデランスはラオス南部のサワンナケートで7月下旬に自社工場を稼働する。当初は2014年9月に稼働を予定していたが、行政との調整などで稼働時期が延びていた。同社はすでにサワンナケートの賃貸工場で日本向けオーダーメード製品を生産しており、8月をめどに新工場と合わせたオーダーメード・ウィッグの生産能力を現状比2・5倍の月2000枚に引き上げる。17年に自社工場を増床する計画で、同年から日本と北米向けオーダーメード製品を月7000枚、レディメイド製品を同2万枚生産する予定だ。

 アデランスは12年にラオス・ビエンチャンで委託生産をはじめ、オーダーメード製品の毛植え工程を手がけている。14年5月に現地法人を設立し、同9月にサワンナケートで賃貸設備による生産を開始し、さらに7月下旬に自社工場を稼働する。新工場への投資額は約6億円で、ウィッグの土台づくりから仕上げまでを一貫して手がける。

 同社によるとラオスの人件費はタイの6割程度で、伝統的な毛織物生産などを担う手先が器用な人材が多いという。新工場の稼働時にはサワンナケートとビエンチャンの両工場で1500人以上の現地従業員を雇用する計画。ラオスに進出している日系企業の雇用規模としては最大となる見込みだ。

 同社にとって一貫生産を手がける工場はフィリピン工場に続き2カ所目。一貫生産により品質や生産性を向上できるとともに、生産計画をきめ細かく管理できる利点があるとしている。同社はフィリピンやタイにも工場を持っており、拠点の分散で災害や政治変動のリスクに備える。オーダーメード・ウィッグは高齢化の進展に伴い、活動的なシニア層がファッションとして用いる需要が増加しており、アデランスも力を入れている。

大和産業は自動車用のサブワイヤハーネスを生産へ


 大和産業(東京都大田区)は、自動車用サブワイヤハーネス(組み電線)の製造でラオスに進出する。6月に生産現地法人を設立し、12月に工場を稼働する。既存のタイの工場からハーネスの手組み工程の一部をラオスに移管。タイは発光ダイオード(LED)や電子基板付きハーネスなど高付加価値品の生産に注力する。ラオスの新会社は2018年3月期に売上高4500万バーツ(約1億8000万円)を目指す。

 ラオスの新会社「ダイワ・ハーネス・ラオ」は南部のパクセー市に設立する。タイのグループ企業で販売会社のダイワ・アジアと、生産会社のダイワ・ハーネス・タイランドが共同出資する。土地1万平方メートルを賃借し、このうち1000平方メートルを工場建屋に充てる。工場従業員は当初20人を予定し、現地で採用する。

 大和産業は08年にタイのアマタナコン工業団地にハーネス工場を開設。タイの自動車生産の拡大に伴い「現在はフル稼働の状態にある」(丸山社長)。工場が手狭となる中、単純作業である手組み工程の移管を模索。労働者の賃金や電力事情、言語などを考慮し、ラオスへの進出を決めた。

 将来は、ダイワ・アジアが販売するブレーキやクラッチの補修部品の供給拠点としてもラオスを活用したい考え。東南アジア諸国連合(ASEAN)各国での補修部品ビジネスの拡大を目指す。

西松建設は日系企業の進出見据え、ゼネコン初の合弁を設立し工場建設請け負う


 西松建設は3月10日、タイの現地法人である泰国西松建設がラオス初の日系ゼネコンとなる合弁会社を設立すると発表した。合弁相手はラオスで日本企業向けの進出支援や工業団地開発を手がけるサワンTVSコンサルタント。サワンTVSの進出支援を受けてラオスに立地する日系企業の工場建設を請け負う狙い。

 合弁会社「ラオ西松建設」は、資本金10万ドルを泰国西松が49%、サワンTVSが51%出資して4月中に設立する。同国には資本規制があるため、50%未満の出資にとどまる。社長は市正寿泰国西松社長が兼務する予定。
日刊工業新聞2015年03月11日3面/05月14日自動車面/07月01日建設・エネルギー・生活面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
タイの人件費の上昇や労働力不足が深刻化し、日本企業がラオスやカンボジアにタイの「分工場」を建設する動きが顕在化してきている。また今年12月には「東南アジア諸国連合(ASEAN)経済共同体」(AEC)が発足。域内の関税撤廃などで「一つの市場」に向けた準備が着々と進んでいる。AEC域内の人口は約6億人で欧州連合(EU、約5億人)を上回る。その中でラオスは労働集約型の拠点として存在感を高めそう。

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