西鉄とJR九州が切磋琢磨でつくる新しい福岡の姿は?

連節バス導入やコミュニティーづくりに特徴出す

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連節バス(イメージ)は2016年度から運行予定
 歩いて出かけたくなるまち、3世代が交流するまち―。西日本鉄道とJR九州による新しい二つのまちづくりが福岡市で始まっている。中心部では渋滞問題を踏まえ、バス高速輸送システム(BRT)の導入と駐車場の遠隔化で自動車の流入を減らす。一方、高齢化社会を意識し、世代を超えた交流を生み出す開発も始まった。

 福岡市は、利便性の高さなどの魅力から若い世代を中心に九州一円から人が集まり、中心部の渋滞問題がかねて指摘されていた。九州の総人口は減少の時代に入ったが、一方で人口増加を続ける福岡市は、渋滞対策の必要性が増すばかりとなっている。

 BRTは福岡市と西日本鉄道の共同事業。2台のバスをつなげたような連節バスを2016年度から運行する。当初は車両2台を導入、20年度をめどに15台程度に増やす。停留所は地下鉄や鉄道の駅、バスと乗り換えやすい場所にする予定だ。

 BRTの特徴は観光客や高齢者にとっての分かりやすさ。連節バスは一目で他のバスと区別できる。バス停のデザインも既存のものと差別化。循環路線、10分間隔など定時間隔での運行を計画する。市の関係者は「それに乗れば、方向を間違っても必ず目的地に行けるという安心感がある存在にしたい」と構想を練る。

 市がBRT導入と一体で進めるのが中心部周辺の駐車場確保。事業者が駐車場を設けやすくなる施策や市営駐車場の開設の検討を15年度内に始める。床面積に応じた駐車台数の確保を建物や近辺に求めている条例の改訂も課題だ。

 一方、市の中心部から2キロメートルほど離れた六本松地区。JR九州が九州大学キャンパス跡地で住宅型老人ホームと分譲マンションを開発する。敷地約2万1150平方メートルで東と西に分かれる。東は老人ホームのほか福岡市の科学館(仮称)、九州大学の法科大学院、商業施設が入る。西は分譲マンションと商業施設で構成する。

 JR九州はマンションと老人ホームで3世代が交流する新たなコミュニティーを創出。子どもの利用が多い科学館や大学院が参加した幅広い世代の交流を生み出す。同社は開発を「にぎわい創出だけではないまちづくりを模索している。当社の開発にとって試金石になる」(事業開発本部開発部)と力を入れる。今後、同社の開発でモデルケースとなる可能性を秘める。西のマンションは既に工事が始まり、17年3月下旬に引き渡す計画。東は15年秋に着工、17年秋の開業を予定する。

 二つのまちづくりは住民にとって価値があるだけではない。社会の課題への対応を、都市の新たな魅力として示す意義もある。

日刊工業新聞2015年07月01日 中小企業・地域経済面

COMMENT

三苫能徳
西部支社
記者

西部支社の関記者のリポート。 駅ビルや沿線開発の印象が強かったJR九州ですが、九州大学跡地の開発は沿線からは完全に離れています。その意味でも「試金石」になるでしょう。また西鉄の連節バスは福岡の街で目立った存在になるはず。ただすでに同社の路線バスもかなりの数が走っており、小回りが効かない連節バスをこのまま走らせても渋滞緩和にはつながらないのではとも懸念します。

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JR九州 西日本鉄道

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