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「ゾゾスーツ」はアマゾンと同じ土俵に乗らない!?

計測結果を登録、武器はオリジナリティー
「ゾゾスーツ」はアマゾンと同じ土俵に乗らない!?

ZOZO公式ページより

 流通業界が米アマゾン・ドット・コムのような圧倒的な品そろえの総合通信販売に対抗するためには、オリジナリティーのある商品を提供し、ファンを増やす戦略を急ぐ必要がある。

 本の通販からスタートしたアマゾンは急速に扱い品目を増やし、米国では既存店舗の販売にダメージを与えたり、破綻に追い込んだりする例が出ている。アマゾンの強みは品ぞろえと自宅にいながら商品が届く配送の利便性だ。こうした“アマゾン旋風”は日本でも、実店舗か通販かに関係なく流通各社を圧迫するだろう。

 対抗策の一つの可能性を示したものが、アパレルに特化したインターネット通販サイト「ゾゾタウン」を運営し、急成長しているスタートトゥデイだ。同社が発表した「ゾゾスーツ」は着るだけでボディーサイズが簡単に計測できる。

 発表以来、相当数の申し込みを受け付けた。ネットで衣類を注文する際、サイズを心配する人は少なくない。ゾゾスーツで計測結果を登録すれば、個々人にぴったりの衣類を提案してくれるという。

 アマゾンも今後、アパレル販売に力を入れる方針。その前にゾゾスーツで顧客を囲い込めば有利に戦える。ゾゾ側には、そんな計算が見え隠れする。あるシンクタンクの研究員は「ネット通販の最大の武器はオリジナリティーのある商品だ」と話す。確かにナショナルブランドなどの同一商品を販売しているだけでは、圧倒的な品ぞろえや配送スピードの点でアマゾンと戦うのは難しい。

 しかし、そのサイトでしか購入できない商品なら消費者は離れない。リアルの店舗も同じことが言える。米国のあるスーパーは、アマゾンと競合しないように商品の形態を変えたり、商品の中身を変えてほしいとメーカーに依頼しているという。

 オリジナリティーのある商品や商品政策、チャネル別の専用商品の時代がそこまで来ている。消費者が、特定の店やサイトで買う必然性をもう一度考え直し、“戦う土俵”を変えるべきだ。
日刊工業新聞2018年1月30日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
アマゾンと同じ土俵に上がったらだめか…。これからの流通は商品や商品政策でオリジナリティを競う厳しい競争時代に突入だ。

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