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鴻海、シャープ種類株売却で売却益約2500億円

決算前に利益確保の狙いか
鴻海、シャープ種類株売却で売却益約2500億円

左から鴻海出身でシャープの戴社長、鴻海の郭会長、高橋前シャープ社長(16年8月)

 台湾・鴻海精密工業は29日、保有するシャープのC種種類株をすべて売却し、約2524億円の売却益を得ると発表した。売却先は鴻海グループ企業の役員や従業員で構成する持ち株会社で、英国領ケイマン諸島にある「ESプラットフォーム」。売却は2018年1月30日を予定する。

 鴻海はグループの役員と従業員に、シャープの企業価値を高める動機を持たせるためのインセンティブ制度を構築するとしている。シャープも26日に開いた取締役会でこの売却に同意した。鴻海には2017年12月期の通期決算を前に利益を確保する狙いもあると見られる。

 C種種類株は鴻海グループがシャープを買収した16年8月に、シャープが発行した議決権のない種類株式。鴻海グループが買収時に出資した3888億円のうち1000億円にこのC種種類株を割り当てた。今回の売却によって鴻海グループによるシャープへの出資比率64.77%が変わることはない。
日刊工業新聞電子版2017年12月30日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
ヒット商品、急成長デバイスなきシャープの業績回復。もちろん戴社長を始めとする鴻海のマネジメント・管理能力は評価するが、これからを考えると、EMS中心で成り上がってきた鴻海が持つノウハウやリソースでシャープのトップラインが大きく伸びていくイメージが沸かない。そうなるとやはりM&Aでレバレッジをかけることになるのか。

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