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JR東日本と日立、ビッグデータを活用した新しい運行シュミレーション開発

列車の重量データなどから混雑具合を判断、色の変化で判断可能に。15年度中に導入へ
JR東日本と日立、ビッグデータを活用した新しい運行シュミレーション開発

列車がどの程度遅延し、混雑しているかを色の変化などで分かりやすく示す

 JR東日本は日立製作所と、ビッグデータを活用し輸送障害時の遅延や列車や駅の混雑状況をリアルタイムで確認する運行シミュレーションシステムを開発した。2015年度内に導入する。事故などで輸送障害が発生した際、列車の遅延だけでなく、その列車の重量データなどから、混雑具合を判断し、色の変化で判別できるようにした。首都圏の在来線を管理する東京総合指令室をはじめとした指令室に導入し、事故発生後の運行再開を早めるほか、混雑状況を踏まえた、安全でより実態に即したダイヤ回復につなげる。
 
 新たに導入する運行シミュレーションシステムは、従来の運行管理システムで把握できる列車の運行情報に加え、列車の重量データなど膨大なデータを分析し、運行中の列車がどこでどの程度遅延し、混雑しているかを色の変化などで分かりやすく示す。事故発生から運行再開後のダイヤ回復など、刻一刻と変化する列車の運行状況や混雑状況をリアルタイムで把握できる。これにより、どこで折り返し運転をするかなど、ダイヤ回復の判断に生かす。

 JR東日本は96年に首都圏の在来線の運行管理システム「東京圏輸送管理システム(ATOS)」を導入。ATOSは列車の遅延は把握できるが、各列車や駅の混雑状況は、指令室で情報を集めて対応していた。
 
 一方、混雑状況は山手線の列車の重量データを分析し、スマートフォンを通じて、利用者に情報を提供している。新たな運行シミュレーションシステムは、JR東日本が保有する複数のビッグデータを組み合わせて運行の安全性や安定性を高める。また、過去の運行シミュレーションシステムのデータを訓練などに生かし、ダイヤ回復の精度を高め、駅での業務改善につなげる。
日刊工業新聞2015年06月26日 1面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
東京都内はとにかくいろいろな相互乗り入れが増え、ある私鉄の路線は毎日のように遅延している。JR、私鉄、メトロ、都営などのシステム、ビッグデータをできるだけ共有する方向に進まないと効果が出ない。

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