ゼネコン各社、視線は早くも「ポスト五輪」へ

新しい中期経営計画から見える各社の思惑とは!?

  • 0
  • 0
解体中の国立競技場、新競技場の建設費は約2500億円に
 ゼネコン各社が2020年の東京オリンピック・パラリンピック後をにらんだ中期経営計画を相次いで策定している。業界では東京五輪開催以降の市場環境について慎重な見方が多い。このため、各社は現在の良好な受注環境を背景に、中計において収益力の強化や柱となる新規事業の立ち上げなどを打ち出している。環境、再生エネルギー関連を新たな事業の柱に掲げる企業が多く、五輪特需後に向けた体制整備を急ぐ。(村山茂樹)

 大林組は中計で収益基盤の多様化を目標に掲げ、再生可能エネルギーなどを中心に新領域事業を強化する。3年間で1800億円の投資のうち3分の1を新領域事業に振り分ける。バイオマスや風力などの発電事業を太陽光発電に次ぐ事業に拡大するほか、植物工場なども展開して新たな収益源の確保を目指す。国内オフィス賃貸事業の拡充など開発事業にも550億円を投じて収益基盤を整備する。

 大成建設は中計の基本方針に「建設事業本業の深耕」を掲げた。「品質と安全の確保によって高い顧客満足を得る」(桜井滋之代表取締役専務執行役員)と本業を固めながら次世代を見すえた戦略をとる。ポスト五輪をにらみ、リニューアル・リプレイス、原子力、環境、エンジニアリング、都市開発の注力5分野での高付加価値化を推進。中長期的な競争力確保につなげる。

 戸田建設は15年度を最終年度とする中計で、営業利益率2%以上の目標を14年度に3・1%と前倒しで達成。本年度も達成できる見通しのため、新中計を策定した。生産性ナンバーワンと成長への基盤を重点施策の方針に掲げ、設計施工の拡大や省力化施工の推進、医療・農業・環境への新規事業投資などを計画する。

 また、安藤ハザマや熊谷組も前中計の数値目標を前倒しで達成し、新中計を打ち出した。安藤ハザマは営業利益率を安定的に5%以上、熊谷組は営業利益率4%以上の常態化を掲げるなど収益力の維持に注力する。

 一方、前期は“1人負け”状態だった鹿島は、業績の足を引っ張った建設事業の再生に力を入れる。「規模の拡大よりも利益率の改善に取り組んで増益を図りたい」(勝見剛執行役員経営企画部長)。特に当初2年間は営業利益200億円以上を確実に稼ぐ土台を整備。市場環境に応じた社員配置による生産性の向上やプロジェクトへの早期段階での関与によるリスク管理、適正利益と施工能力を考慮した受注の徹底などに取り組む。

日刊工業新聞2015年06月23日 建設・エネルギー・生活面

COMMENT

斉藤陽一
編集局第一産業部
デスク

五輪特需という山を登り切った後、「谷」が訪れるのは、ある意味避けられません。落差をいかに少なくするか、各社の中長期視点での戦略が問われています。

関連する記事はこちら

特集