SUVとPHVに注力!?三菱自動車のパワートレイン戦略とは

佐藤尚常務執行役員開発統括部門長に聞く「前輪駆動は取り組みやすいが重い車のPHVは難しい」

佐藤常務執行役員
 ―世界的に燃費規制が厳しくなる中、電気自動車(EV)商品化での先行をどう生かしますか。
 「北米や中国の法規に対応するにはEVやプラグインハイブリッド車(PHV)が必須となっており、当社に強みがある。今後も電動化を当社の中核技術として開発を推し進める。ただ、新興国に適した二酸化炭素(CO2)排出量低減技術も必要だ。このため小型クリーンディーゼルエンジンなど三つの技術に注力し、全体への構えをつくる」

 ―電動化技術を進化させるポイントは。
 「まずは電池だ。EVとPHVとで求められる性能は違う。内燃とバランスをどう取るか。当社は電池を生産しなくても、試験設備を充実させて電池の性能を熟知しなければいけない。最初の電動車開発時から付き合いのある電池メーカーとの協力関係に加え、官民共同の研究に参加する」

 ―駆動タイプの異なるPHVを開発中です。
 「『アウトランダーPHEV』の4駆システムは前後が切り離されており、前輪駆動(FF)は取り組みやすい。一方で重量の重い車のPHVは難しいとわかってきた。顧客から4駆の評価が高いこともあり、SUVの融合を含めて搭載を検討する」

 ―現在、小型ディーゼルエンジンを仏PSAプジョーシトロエンから調達しています。
 「ディーゼルの規制強化が進む中、完全に技術を外部に頼ってはいけない。小型ガソリンエンジン技術をディーゼル化することで、自前で排気量1・5リットル前後のエンジンを開発している。調達も自前開発と並行して検討を進めている」

 ―電動化以外の3技術の実用化の見通しは。
 「(過給器で小排気量化する)ダウンサイズターボエンジンは車として評価できる段階まで開発が進んだ。ディーゼルは時間がかかる。(モーターによるアシスト力の小さい)マイルドハイブリッドは技術としてできあがってきた。ただ、電源電圧が48ボルトとなると、電圧の高い電気を車全体で何に活用するか、実用化前に議論する必要がある」

 ―他社からの技術補完または技術供与は。
 「燃料電池車(FCV)は当社なりの研究をしている状況だ。それぞれの技術でお互いウィンウィンの関係になるものが出てくれば、個々に検討して実施する」

 【記者の目/PHVでイメージ確立を】
 PHVは電池性能が大幅に向上するまでの主要な環境対応車として、市場拡大が期待されている。競合が増える中、気になるのは三菱自がラインアップをどう拡大するか。近く新型アウトランダーPHEVが発売されるが、さらに小型スポーツ多目的車(SUV)「RVR」の次期モデルでPHVなどを間断なく投入し、PHVといえば三菱のイメージを確立していく必要がある。
 (聞き手=梶原洵子)

2015年06月27日

COMMENT

清水信彦
広島総局
編集委員

三菱自動車は最初EVをやるといっていて、PHVをやりだして、その途中でHVもできちゃったからHVもやると言い出して、結局、全部やっちゃうという、選択と集中のしなさが特徴という印象があります。今はトラックとSUVを中心にブランドイメージを再構築しつつある途中なんでしょうが、ではそれに合うパワートレインはなんなのかというと、このインタビューではいまいちはっきりしません。記者の目にある、「PHVといえば三菱」というのも、ちょっと違うと思う。

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