ディズニーも開発する脚がとれても歩き続けるロボット、利用シーンは?

宇宙や災害現場で活用、故障を前提に機能設計

 脚がもげても壊れても、決して止まらずに歩き続ける―。そんなロボットの開発が進む。災害現場や宇宙ではどんなトラブルに見舞われるかわからない。人間が修理に行けない環境で働き続けるには、故障を前提に機能を設計する必要がある。そこで脚を失っても動き続ける昆虫やヒトデの動きに着目。制御アルゴリズムとしてロボットに実装し、脚を失っても歩みを止めないロボットが誕生している。

 米ディズニーの研究部門、ディズニーリサーチ・ピッツバーグのキム・ジュヒョン研究員と山根克シニア研究員らは、脚をもいでも残った脚で歩き続ける多脚ロボット「Snapbot」(スナップボット)を開発した。スナップボットは、六角形の本体に最多で6本の脚をつけられる。脚は2関節タイプと3関節タイプの3種類を用意。歩行中に脚を付け替えても歩き続ける。

 スナップボットは、脚の種類や配置の組み合わせが約700通り存在する。0・1秒ごとに脚構成を確認し、各脚の動きを修正する。4本以上の脚が対称に配置されていれば、本体を持ち上げて歩行し、1本足なら本体を引きずりながらはって動く。リアルタイムに動きを修正するため、歩行中に脚をもいでしまうなどの邪魔をしても進み続ける。

 今後カメラなどのセンサーを搭載し、人工知能(AI)技術で学習させ移動アルゴリズムを体得させる。

 一方、東北大学の石黒章夫教授と加納剛史准教授らは、クモヒトデの動きをロボットに応用した。5本の脚がそれぞれ自律分散的に駆動できる。

 まず脚をランダムに動かし、進行方向への反力を感じたときに地面を蹴るように動かす。反対向きの反力を検知したら何もしない。シンプルな制御ルールだが、これを繰り返すことで進んでいく。

 石黒教授は「各脚の状況や脚の構成を把握しなくていい。シンプルだからこそ即座に適応できる」と強調する。反力の方向を検知する力覚センサーは脚の根元にあるため、足先が壊れても駆動する。実際に歩行中に脚を壊しても、進み続けることを確認した。

 ロボットが複雑になり自由度が増えるほど、センサーやアクチュエーターが増えて中央制御が難しくなる。このため、各パーツが自律分散的に動き、全体として機能することが求められていく。こうした知見は、馬のような4足歩行ロボに応用する予定だ。脚に加え、体幹や尻尾、首などを含めた全身運動に展開していく。身体が欠けても働き続けるロボットの実現に向けまい進する。
東北大のクモヒトデ型ロボ(東北大提供)

(文=小寺貴之)

日刊工業新聞2017年12月18日

小寺 貴之

小寺 貴之
12月19日
この記事のファシリテーター

 自律分散処理はたくさんのシンプルなロボットを協調させる群ロボとして研究されてきました。その小さなロボを脚などのロボットのパーツに見立てて、いくつものモジュールが連携して複合的な動きを実現する研究になりました。人間は身体を動かすときに個々の筋肉の収縮をいちいち気にしません。これと同じように人間の無意識の部分を自律分散が担ってくれるかもしれません。
 ボストンダイナミクスは小さいプログラムを大量に並走させているそうです。ただ人間の骨は200、筋肉は1000ともいわれます。姿勢維持に効いている数はもっと少ないはずで、十数から数十くらいの自由度を協調させれば良いのでしょうか。調査や作業など簡単な判断の入る仕事に応用できるかが課題です。無意識に走る跳ぶができるロボットが実現すると、災害対応など人間が身体を張っている分野に貢献できるかもしれません。

この記事にコメントする

  

ファシリテーター紹介

PRmore

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。