“広島ファンド“、ハゲタカのイメージ払拭に苦労

県内7社に約55億円投資も、資金使い切れず

 広島県が核となる企業育成ファンド、ひろしまイノベーション推進機構が12月末で投資の期限を迎える。これまで県内7社に約55億円を投資し、2社の事業を他社に譲渡することに成功した。今後も潜在力のある地元企業を資金・経営面から支援する姿勢を貫くことを求めたい。

 機構は2011年に県や広島銀行、マツダなどが出資した総額約105億円の官民ファンドを運営する。湯崎英彦知事は成果について「もうちょっと投資件数があればよかったが、(投資先の)売り上げや雇用が増加していることから狙いは達成しつつある」と述べる。

 投資先7件のうち、非破壊検査装置のオー・エイチ・ティー(福山市)と薄膜センサーのサンエー(三次市)は、他社への株式譲渡を終えて支援を終了。特に前者は約10億円の投資に対して約27億円で全株を譲渡し、約2・7倍のリターンを得た。

 投資先はほかに、再生医療用幹細胞のツーセル(広島市南区)、ドローン測量のルーチェサーチ(同安佐南区)、学習塾経営のビーシー・イングス(同安佐北区)、病院向け給食のアイサービス(尾道市)、畜産・スーパー運営のなかやま牧場(福山市)の計5社。投資の期限は終わっても、引き続き株式上場や事業売却に向けて、各社の育成・支援は機構の大きな使命となる。

 当初用意した資金を使い切れなかったことは、地場企業にニーズがなかったことの表れと言えなくもない。湯崎知事は「ファンド=ハゲタカというイメージが強く、風評被害の払拭(ふっしょく)に苦労した」と、ファンドへの拒否反応が業務遂行の向かい風になったと明かす。

 現時点では大きな欠損もないが新規上場のような華々しい成果もなく、評価が難しい。県が投資を絡めた企業支援を今後も続けるかどうかは未定だ。

 だが、起業や成長しやすい環境づくりは一朝一夕では整わない。息の長い一貫した取り組みが重要だ。有望な企業への資金・経営面での支援姿勢は崩さずに、新しい施策に向けて知恵を絞ってほしい。

日刊工業新聞2017年12月13日

明 豊

明 豊
12月18日
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多くの地方銀行は地方創生のためのファンドを作った。金は用意したけど、新しい事業の種となるタマがないとよく言う。一緒にタマを作りこみにいく当事者意識はあまりない。自分たちにが見る目ないケースがほとんど。しかも官民ファンドは投資すること自体が目的化してしまう。行政は有識者を集めて地方創生プランもるつくるが、有識者はあくまでオピニオンリーダーで、自らリスクを賭して何かをやってみる人たちではない。必要なのは、真ん中で自らリスクをとり、オーナーシップをとって何かをやろうという人たち。

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