【検証2017・小池都政】過去の膿を出す作業は終わった

議会と良識的な対話はできるか

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みんなでラジオ体操プロジェクトがスタート(7月24日=東京都庁)
 東京都では2020年東京五輪・パラリンピック大会の開催に向け、さまざまな物事が動き出した。7月の都議会選挙は、小池百合子知事が代表として率いた「都民ファーストの会」が大勝し、盤石な都政運営が可能となる都議会体制を整えた。大会開催の機運醸成と都民の健康増進を目的に「みんなでラジオ体操プロジェクト」を7月24日から早速実施するなど新たな施策も打ち出した。

 小池知事が就任当初に決めた築地市場(東京都中央区)から豊洲市場(同江東区)への移転延期によって発生した問題も解消されつつある。大会期間中に選手たちを運ぶ環状2号線の新橋―豊洲間は、20年3月末までに地上部分で片側一車線を暫定開通することに変更した。

 豊洲市場の移転・開場時期は、都と市場業界団体とで構成する新市場建設協議会(村松明典会長=都中央卸売市場長)を11月6日に開き、18年10月中旬で合意した。土壌汚染の追加安全対策工事を完了後、専門家会議の確認も行った上で開場する。

 日程は決まったものの、実際の移転に向けた取り組みは難航している。小池知事が1社入札の是正と、より多くの企業が参加できるようにと6月から試行中の新しい競争入札制度により、追加安全対策工事の入札案件9件のうち、成立は6件のみ。都は12月中に再入札をかけ、18年1月にも着工したい考えだが、契約が成立するかは不透明だ。

 豊洲市場の観光・にぎわいの場を整備する千客万来施設(6街区)事業予定企業グループ代表の万葉倶楽部(神奈川県小田原市)は、小池知事が都議会選挙の直前に打ち出した方針「築地は守る、豊洲を活かす」を受け、事業撤退と都への損害賠償請求も辞さないとの構えを見せている。競合施設が近接することになり客の奪い合いが懸念されるためだ。

 待ったなしの2020大会開催・成功に向け、小池知事は事態の打開をどう図るのか。小池知事の手腕にかかる。
(文=大塚久美)

日刊工業新聞2017年12月14日

COMMENT

安東泰志
ニューホライズンキャピタル
会長

都政は、セーフ・シティ、ダイバーシティ、スマート・シティという小池知事の公約に沿って、極めて順調に実績が積み上げられている。国際金融都市・東京構想など成長戦略も纏まった。築地問題ばかりが注目されているが、仮に昨年11月に予定通り移転していたら、1〜3月に移転条件となっていた環境基準を大幅に超える地下水汚染が判明し、豊洲市場は閉鎖に追い込まれていたはずであるので、延期の判断は極めて妥当なものだ。過去の膿を出す作業が終わり、不透明だった入札改革も進められている。昨今のリニアでの談合疑惑を見ても方向性は何ら非難にあたらない。自民党を含め議会の良識的な対応に期待したい。

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