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太陽光用のパワコン、これからタイへの輸出が増えるワケ

日本で認証取得が容易に
太陽光用のパワコン、これからタイへの輸出が増えるワケ

トリナ・ソーラーのメガソーラー(写真はイメージ)

 製品評価技術基盤機構(NITE)は、電気安全環境研究所(JET)をタイの試験規格に基づくメガソーラー用大型パワーコンディショナー(電力調整装置)の試験所として初めて認定した。JETは産業技術総合研究所福島再生可能エネルギー研究所の試験設備を利用し試験を実施する。今後パワコンメーカーにとって手続きが容易になり、機器輸送コストを抑えられる。太陽光発電を拡大するタイへのパワコン輸出が促進される見込みだ。

 NITE認定センターは2016年9月にタイの試験規格に基づく試験所認定業務を開始し、今回の認定が第1号案件。日本とタイは国際的な相互承認の枠組みに署名しており、JETの試験報告書はタイの現地認証機関に受け入れられる。

 従来、大型パワコンメーカーがタイ市場に参入するには、現地の認証機関に申請する必要があった。試験報告書を発行する試験所は日本国内に存在せず、外国語による手続きや試験所までの機器輸送に手間がかかっていた。

 タイは政府主導で再生可能エネルギーを導入が進めており、太陽光発電の導入量を21年までに300万キロワットへと2倍以上にする方針を示している。

 電力系統に接続するための大型パワコンの需要拡大が期待されている。
日刊工業新聞2017年12月5日
川上景一
川上景一 Kawakami Keiichi JEITA 常務理事
 大規模な太陽光発電(メガソーラー)を電力系統に接続するために必要となる大型パワーコンディショナー(電力調整装置)。直流を交流に変換するだけでなく、全体の電力受給バランスに応じて太陽光発電から系統に送り込む電力を調整する等の役割を担うことで、再生可能エネルギーとして期待されている太陽光発電を一層普及していくための鍵を握る。  今後、地域のパワーコンディショナー群がIoTで連携して、電力需給を制御することも期待される。このような重要な装置について、製品評価技術基盤機構(NITE)と産業技術総合研究所(AIST)という2つの独立行政法人と、一般財団法人の電気安全環境研究所(JET)が連携して、タイ市場参入に必要となる認証のための試験を日本国内で行うことが可能となったことは、意義深い。装置が大型であるだけにコスト削減も期待される。  タイにおける再生可能エネルギーの普及に貢献することで、地球温暖化ガス削減のための日本の積極的取り組み事例として示せるように、この仕組みを活用していただきたい。

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