ニュースイッチ

生産量は世界最大!神鋼が直接還元鉄プラントをアルジェリアで受注

米子会社とポールウース(ルクセンブルク)が共同で。需要が増えている建設資材向け線材・棒鋼
生産量は世界最大!神鋼が直接還元鉄プラントをアルジェリアで受注

還元鉄プラント「ミドレックス」はCO2を抑制し製造コストも大幅に削減できる

 神戸製鋼所の米国子会社、ミドレックス・テクノロジーズ(ノースカロライナ州シャーロット)がアルジェリアで直接還元鉄プラントを受注した。受注金額は非公表。トルコの鉄鋼メーカー、トスヤリ・ホールディング(ハタイ県イスケンデルン)がアルジェリアのオラン近郊で建設中の製鉄所に採用する。年産能力は250万トンでミドレックスのプラントとしては世界最大。2017年の稼働を目指す。

 ライセンス供与先のエンジニアリング会社、ポールウース(ルクセンブルク)との初の共同受注。両社でコンソーシアムを組み、設計と主要機器の供給を行う。ミドレックスの過去の実績とアルジェリアにおけるポールウースのプロジェクト経験が評価され、受注につながったとしている。

 アルジェリアでは初の直接還元鉄プラントとなり、これまでミドレックスとして最大だった年産200万トン規模のプラントを大きく上回る。主に建設資材として需要が増えている線材・棒鋼を生産する。
日刊工業新聞2015年06月25日 素材・ヘルスケア・環境面
村上毅
村上毅 Murakami Tsuyoshi 編集局ニュースセンター デスク
鉄の原料ともいえる銑鉄を作るためには、鉄鉱石を還元する「高炉」やその還元材の石炭をコークスにする「コークス炉」が必要となるが、ミドレックスは鉄鉱石を天然ガスでそのまま還元して鉄の原料を作り、電気炉で鉄の製品にする。建設に莫大な費用が掛かり、CO2の発生も多い高炉やコークス炉が不要なため、初期費用が少なく、環境にもやさしい。導入しやすいことから新興国などで広がりが期待できる。ただ、鉄鋼製品は中国の供給過剰で世界的な「鉄余まり」で、市況は悪化している。また鉄鉱石、石炭ともに価格は下がっていて、高炉で生産する銑鉄の生産コストも下がっている。ミドレックスの普及・拡大にどういう影響を与えるか、注目される。  

編集部のおすすめ