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ルネサス新旧CEOは「再建と成長」について何を語ったか?

元オラクル社長の遠藤隆雄新CEO「自動運転やIoTでリーダー企業になる」
ルネサス新旧CEOは「再建と成長」について何を語ったか?

会見する遠藤隆雄CEO(右)と作田久男前CEO

 ルネサスエレクトロニクスは24日、同日付でトップに就任した遠藤隆雄会長兼最高経営責任者(CEO)が会見を開き「構造改革を完遂させつつ、成長に向けギアチェンジする」と抱負を述べた。引き続き自動車向けと産業機器向け半導体に事業を集中させ、機能安全やセキュリティーなどの中核技術を強化していく方針を掲げた。「足りない技術や弱い市場を補完するため、他社との提携もタイミングを計って検討していきたい」と語った。

 遠藤氏は、日本IBM常務執行役員や日本オラクル社長を経て、ルネサスの会長兼CEOに就任。「ソフトウエアやシステムインテグレーションの経験を生かしたい」と語り、半導体とソフト、サービスを組み合わせて提供していく総合提案を拡大する意向を示した。
 
 自動運転などを実現するスマートカー(近未来型自動車)や、モノのインターネット(IoT)といった新領域でも「リーダーとなる企業になりたい」と意欲をみせた。秋頃に具体的な方策を盛り込んだ中期経営計画を公表する考え。

 

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“つながる”キーワードに産業用半導体で攻勢をかける


 ルネサスエレクトロニクスが、モノのインターネット(IoT)分野を対象とした産業機器向け半導体で攻勢を掛ける。高速データ処理を実現する独自の半導体を核に、他社との連携によりアプリケーション(応用ソフト)をセット提供するソリューションを展開。次世代の製造業モデル「インダストリー4・0」の需要を取り込む。ルネサスの屋台骨は自動車向け半導体だが、産業機器向けや家電向けなどの非車分野が売上高の6割を占める。“つながる”をキーワードに成長を狙う。

 「子どもが独立すると、親は楽ができますよね。つながる工場において、“子ども”を自律させるのが、当社の半導体です」―。ルネサスの傳田明第二ソリューション事業本部産業第一事業部長は、独自の回路技術「R―INエンジン」を組み込んだ半導体をPRする。同エンジンは、中央演算処理装置(CPU)によるソフト処理の一部をハードウエアで担う機能が特徴で、処理能力を5―10倍向上させた。

 インダストリー4・0では、工場の末端の製造装置に無数のセンサーを取り付けデータを収集。それをクラウド上のサーバーで分析し、生産の効率化などにつなげる。この際、重要なのが、どうサーバーの負担を抑えるか。「ここで役立つのがR―IN」と傳田部長は説明する。

 R―IN半導体を搭載し製造機器の性能を高めることで、サーバーの負担を減らせる。例えば機器同士が情報をやり取りし、重要データだけクラウドに上げるようにするといった自律的な機能を付加するイメージ。傳田部長は「I4・0の高度化のための要素技術としてR―INの需要は高まる」と強調する。

 もう一つ、ルネサスが重視するのが他社との連携によるソリューション展開だ。IoTは、デバイスからアプリまでシステム構成が幅広く、半導体だけを提供しても顧客ニーズには十分応えられない。半導体に、いかに付加価値を付けるかが重要で、それを実現するにはソリューションが不可欠だからだ。

 具体的な取り組みとして4月には、R―INに対応するアプリや基本ソフト(OS)、開発環境などの事業者を組織する「R―INコンソーシアム」を立ち上げた。製造機器メーカーなどの顧客にとっては、ワンストップで情報を得られたり、開発支援を受けられたりするのが利点。現在、参加は国内約30社だが、「年度内には国内外で100社まで増やす」(横田善和執行役員常務)方針で、ソリューションを充実させる。

 ルネサスはこの2年間、事業の選択と集中を加速させてきた。車向け以外では、産業・家電、オフィス機器(OA)・情報通信技術(ICT)にフォーカスし、製品ラインアップも大幅に絞り込んだ。今後は、残った看板製品を拡販していくことが重要になる。

 将来は家庭やオフィス内でも、つながるをキーワードとしたサービスの普及が見込まれる。ルネサスが、先行してインダストリー4・0向け半導体で存在感を示せれば、IoT時代を勝ち抜く上で大きなアドバンテージになる。
日刊工業新聞2015年06月10日 電機・電子部品・情報・通信一部抜粋委/06月25日 3面
明豊
明豊 Ake Yutaka 執行役員デジタルメディア事業担当 DX統括
社内は完全に成果主義が徹底され、今では降格人事も頻繁に行われている。一方で、評価を上げれば賞与が一気にあがり、同じ年齢でも評価は10倍くらい差があるケースが出てきている。何より中堅・若手社員のチベーションがすごく上がっていることが大きい。でも遠藤新CEOはこれから手をつけなければいけないことが山ほどある。いろいろなステークホルダーもいる。かなりハードな決断も求められるだろう。

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