「“産業自動化革命”を進める」(安川電機社長)

小笠原社長に聞く「今以上に顧客の利益を」

 安川電機はIoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)を駆使して、工場の生産性や品質を向上させる新たな自動化コンセプト「アイキューブメカトロニクス」を提唱した。1970年代にメカトロニクス、人と機械が共生する自動化工場「アンマンドファクトリ」を相次いで唱えた同社の狙いは“産業自動化革命”の推進だ。小笠原浩社長に取り組みを聞いた。

 ―従来の自動化とアイキューブメカトロニクスとの差は。
 「産業用ロボットやサーボモーターなど既存のコンポーネントは個別に進化してきた。今後はこれら製品販売に加えてIoTやビッグデータなどソフト面のデジタルソリューションを加える。データを解析して生産状況を可視化し、生産性向上や故障解析につなげる。簡単に言うと今以上に顧客の利益を増やす取り組みだ」

 ―IoTやAIの活用は製造業で導入が進み、競合他社も同様の取り組みを加速させています。
 「当社の主力製品はロボット、サーボモーター、インバーターで、基幹システムも機械装置も持たない当社が工場全てを囲い込むことはできない。多くのメーカーの装置からデータを集め、IoTやAIを活用したディープラーニング(深層学習)を駆使して精度を上げるのだ。装置間連携やタクトタイムの短縮、他社製品との連結などで製造現場の付加価値を高める」

 ―多くの装置が混在する製造ラインで可能でしょうか。
 「生産の多様化が進み、顧客からの効率化ニーズは高まるばかりだ。アイキューブは2003年から検討を始めたが、IoTの進化でようやく実現可能になった」

 ―工場の自動化と捉えてよいのでしょうか。
 「誤解しないでほしいのだが、工場全体の生産支援はできない。あくまでもセル生産までにとどまる。ロボットやモーターがつながり、それ一つがセンサーとして稼働しているイメージだ」

 ―ロボットなどの需要がグローバルで好調です。18年度を最終年度とする中期経営計画も1年前倒しで目標を実現しそうです。
 「3年での数値目標が2年で実現できそうだ。18年度は成果を検証して次の中期経営計画に反映させる。このため次の中期経営計画を前倒しで策定することはしない。数年先の計画をこの数カ月で急いで練り直す必要はない。営業利益1000億円以上など長期の『2025年ビジョン』の数値目標も変えない」
(聞き手=北九州支局長・大神浩二)

日刊工業新聞2017年11月14日

日刊工業新聞 記者

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11月15日
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アイキューブは統合・知能・革新を融合した造語。オープン化は自らの首を絞めかねないが、製品が広く普及してシェアや利益拡大に直結する利点もある。AIベンチャーとの資本提携など、良いモノをどんどん取り入れる柔軟さが同社の魅力でもある。IoT時代におけるモノづくりのベース(土台)を目指して、インフラ構築を着々と進めている。
(日刊工業新聞北九州支局長・大神浩二)

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