「IoTに身体・生理情報もつなげる」(サイバーダイン社長)

山海社長に聞く、連携の先に描くもの

 サイバーダインが他社との連携を積極化している。今年に入りワークスアプリケーションズ(東京都港区)、志成データム(東京都町田市)とそれぞれ資本業務提携を締結。コヴィア(横浜市港北区)とは通信デバイスの新会社を設立した。人工知能(AI)技術や生体情報のデータ管理・分析などにサイバーダインの「サイバニクス」技術を強化している。連携の先に描くものは何か、サイバーダインの山海嘉之社長に聞いた。

 ―連携の狙いは。
 「当社は人とロボットと情報系が融合した『サイバニクス』技術で社会課題を解決することが事業の目的。IoT(モノのインターネット)であらゆるモノが通信でつながる時代だが、そこに身体・生理情報をもつなげる『IoH/IoT』(ヒトとモノのインターネット)という概念で、社会が超高齢化に直面しても人が安心して健康に生活できる重介護ゼロ社会の実現を目指している」

 「当社が得られるデータは医療や生活支援で重要な役割を果たす。そのため、情報をマネジメントするため早期に仕組みを整える必要がある。安全な通信環境整備や取得されたデータの業務システムへの展開などを加速させるには、高い技術を持ち信頼できる企業と連携するのが重要だ」

 ―ワークスアプリケーションズは労務や生産管理のノウハウを持ちます。
 「人間が関わる仕事はヒューマンエラーが必ず起こる。エラーを最低限に抑えるには、適切な労務管理で休憩を取り、安定した労働環境をつくる必要がある。当社の『HAL(ハル)』や清掃ロボット、開発中のバイタルセンサーなどから得られる人間の情報を活用すれば、職場環境改善に役立つと以前から考えていた」

 ―今後どういった分野の企業との協業がありますか。
 「あるべき未来を見据え、そこに至るまでにやるべきことを考えて動く『バックキャスト』的思考で当社は活動している。あるべき未来の実現には実社会の複合的な課題解決に取り組める人材が必要で、そうした人材も集まっている」

 「我々が見据える未来を実現するには、安心安全なAI活用や、個々のコミュニティーの課題解決などをしつつ皆が共通認識できる『良い社会』を提示できるような技術開発が重要だ。そうした社会を『創り出す』ことに共感でき、当社と補い合えるような技術を持っている企業と連携していく」

 ―AIの活用は。
 「AIは人の社会で学習しながら進化する技術。いずれは設計者もAIの反応を予測できなくなる。AIが育つ環境が大切だ。哲学を持ってAIを進化させていく必要があるだろう。適切な運用に向けた仕組み作りが求められる」
(聞き手=石橋弘彰)

日刊工業新聞2017年10月27日

石橋 弘彰

石橋 弘彰
10月29日
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山海社長は協業のこつを「相手にも大きな利点があること」と説く。これまでの実績から、数多くの企業からサイバーダイン連携の打診があるという。今後はこれまでより早く、より良い技術を持つ企業との連携ができそうだ。どんな連携の実績が出てくるか、期待したい。

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