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オリジナルの「和ばら」に欠かせない土耕栽培を支えるLPガスヒートポンプ

Rose Universe(滋賀県守山市)
オリジナルの「和ばら」に欠かせない土耕栽培を支えるLPガスヒートポンプ

2017年3月に建設したハウス

 琵琶湖にほど近い滋賀県守山市。花や果物を育てるビニールハウスが並ぶ中で、ひときわ目を引く大きな窓が印象的な建物が「Rose Universe」だ。ばら作家の國枝啓司氏は、父の経営するバラ園で栽培方法を学んだ後、2003年に独立。順調に事業を拡大し、2017年3月には新しく現在のハウスを建設した。

「そよ風にたなびくような、しなやかなバラ」


 同社のつくるバラは「和ばら」と名付けられ、現在60品種が生産されている。そのすべてが育種家・ばら作家である啓司氏の作り出したオリジナルのバラだ。「美咲」「友禅」「いろは」などと和名が付けられたバラは、やさしい色合いと繊細な花びらの重なり、そして全体のバランスの良さが特徴。「そよ風にたなびくような、しなやかなバラ」を目指し育成している。

ローズユニバースで生産する和ばら

 「和ばら」のもう一つの特徴が、土耕栽培であることだ。土壌には肥料をできるだけ与えず、微生物や虫たちの力で土壌を育み、生命力の高いバラを育てている。これにより、肥料を与えすぎたバラに見られる、「花も大きければ軸も大きくなってしまう」といった現象が起きず、全体のバランスが良いバラが栽培できるのだという。「息子が土耕栽培のバラと養液栽培のバラを見比べて、『土耕栽培の方はムダがなくバランスが良い』と言ったことが後押しになった」と啓司氏は振り返る。
 土耕栽培のもう一つの利点が、「年々土が良くなっていくこと」にある。肥料を与えすぎると土が悪くなり、バラを植え替えるたびに土ごと替えなければならない。土耕栽培では時間はかかるが、後世に良いバラ園を残していくことができるのだ。

國枝啓司氏


細やかな温度管理を実現するLPガスの空調


 しかし土耕栽培においては難しい部分がある。それはハウス内の状態を常に最適な環境に保つことだ。土壌内から発生するCO2濃度を測定するほか、温湿度、日射量をこまめにモニタリングしている。
さらに、バラの生育に必要なきめ細やかな温度管理を実現するため、ヤンマー(ヤンマーアグリジャパン・ヤンマーエネルギーシステム)に依頼しLPガスヒートポンプによる空調をフルオーダーで設置。現在5,400平方メートルのハウス内で6台のLPガスヒートポンプが稼働しており、夏は冷房、冬は暖房で最適な温度を保っている。

LPガスヒートポンプ

LPガスタンク

 LPガスを選んだ理由は「琵琶湖を汚さないため」。以前の施設では重油ボイラを使用していたが、重油漏えいのリスクを考慮した。電気ヒートポンプの選択肢もあるが、電気ヒートポンプは真冬には既定の温度まで上げるのに時間がかかることなどを懸念し、LPガスヒートポンプに決めたという。また併せて非常用発電機や災害時の炊き出しセットも導入し、非常時に備えている。
 現在はLPガスヒートポンプを導入したばかりで、ランニングコストなどはまだ計測中だ。温室にあった空調の調整も試行錯誤を繰り返しており、例えば、風の向きや量を調整するために吹き出し口の枝を増やすなど、ヤンマーとも協力しながら取り組んでいる。ここで貯めたノウハウやデータを商品に反映し、他のハウスにも横展開することを目指しているという。啓司氏は「最終的には既存のハウスにも使えるようにならなければ普及しないだろう」と話す。

風量や向きを調整するため吹き出し口を工夫

次世代へつなぐ


 同社ではバラの生産の他にカフェの運営も行っている。これは「花を買いに来た人以外にもバラの魅力を知ってもらいたい」という息子の健一氏のアイデアだ。2006年に異業界から就農した健一氏は主に販売面や広報活動を担当している。「後継者がいないと嘆く経営者も多いが、いかに自分が楽しんでいるかが重要だと思う。楽しんでいる姿を見せることが後継者の育成につながる」と話す啓司氏。自身も楽しみながら、次世代へと「和ばら」をつなげていく。

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http://www.j-lpgas.gr.jp/nenten/index.html

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