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地方自治体で中小企業のデザイン支援相次ぐ。アワードやマッチングなど

中小白書でも販路拡大で不可欠で指摘
地方自治体で中小企業のデザイン支援相次ぐ。アワードやマッチングなど

写真はイメージ

 栃木県は7月3日13時半から宇都宮市の栃木県庁本館で「ものづくりデザイン塾ステップアップ報告会」を開く。県が中小企業を対象に開催する「ものづくりデザイン塾」の受講企業が商品開発などについての成果発表を行うほか、クルー社長の馬場了氏をコーディネーターに迎え、受講企業のグループ討論も予定する。発表を行うのはツカサ精密(宇都宮市)、山越木工房(日光市)、リビングカマトク(鹿沼市)の3社。参加無料。定員は50人。事前申し込みが必要。問い合わせは県工業振興課(028・623・3199)へ。

 <東北でも>
 東北経済産業局は、「2015年度TOHOKUデザイン創造・活用支援事業」の募集を始めた。商品パッケージに優れたデザインを活用したい中小企業などを支援する。具体的には応募者のなかから10社10商品を選び、商品のパッケージデザインを全国のデザイナーから募集。最優秀賞を表彰し実用化する。

 同事業は2014年に第1回を開催。昨年は水産物や農産品など食料品に限っていたが、今回から小型の日用品も対象に加えた。これまで3商品のパッケージを完成し発売。5商品のパッケージを制作中という。締め切りは6月30日。問い合わせは東北経済産業局地域経済部(022・223・9730)へ。

 <東京や大阪ではデザイナーとマッチング>
 大阪府は中小企業とデザイナーとのマッチングにより高付加価値製品や新サービスを創出する事業「大阪デザインイノベーション創出コンペティション」で、デザイナーやクリエイターによる提案の募集を始めた。自社製品・技術のBツーC(対消費者)化を求める中小企業と府内に拠点を有するデザイナーらをマッチングし、高付加価値製品やサービスを創出するのが目的。

 大阪府は試作までの原材料費や展示会出展料など2年間で最大1000万円(補助率3分の2)を助成する。2014年度は中小企業が提供した開発テーマ27件にデザイナー31者が47件を提案、11件をマッチングし、3件を選定した。15年度は17件を選定、6月12日までデザイナーの提案を受け付ける。

 東京都は2015年度から都内中小企業とデザイナーをマッチングさせ、新商品の開発と販売を促す「デザインコラボ事業」を始める。デザイン系学部の大学生との連携だけでなく、中小企業が市場での優位性を確保できるようデザイナーと組むことでデザインの活用による商品の高付加価値化・差別化させ、各社の売上高増に結びつける。商談会や工場見学の場も提供する計画。

 デザインコラボ事業は東京都中小企業振興公社の事業として3000万円の予算で実施する。まず、インターネット上にデザイナー情報のデータベース(DB)を構築する。DBはデザイナーを検索しやすいように区分分けするなどの工夫も凝らし、使い勝手の良いデータベースを構築する予定。さらに、企業とデザイナーとの交流会や工場見学会などを実施することで出会いの場も提供する計画。

 都は12年度から中小企業とビジネス提案能力にたけたデザイナーを結びつけ、新ビジネス創出を支援する「東京ビジネスデザインアワード」(事務局は日本デザイン振興会)を実施。13年度には、同年度最優秀賞に選ばれたパイプ曲げ加工技術を持つ武州工業(東京都青梅市)とデザイナーのコラボによる知育玩具「パイプグラム」など11件のマッチングが成立し、4件の製品化を実現した。15年度からの新規事業と合わせ、継続して中小企業の売り上げ増につながる支援を強化していく。
 
 <中小白書でも販路開拓でデザインの重要性を指摘>(5月11日付記事から抜粋)
 販路開拓に取り組んでいない企業が製造業やサービス業では3割、卸売業でも2割に上ることが分かった。また市場ニーズの把握状況別に、売り上げ目標の達成状況をみると、新規市場は既存市場を開拓する場合に比べ、売り上げ目標の達成度合いは総じて低く、販路開拓の難しさがうかがえる。ただ、国内市場が縮小するなか、既存顧客に依存することなく商圏や事業領域を拡大する戦略は不可欠となる。

 市場開拓がうまくいっていない企業にとって最大の課題は、販路開拓を担う人材不足と市場動向を収集・分析するマーケティングが十分できていないこと。人材不足と認識する企業の半数以上が、外部からの人材獲得も実現できておらず、「コストに見合う効果が期待できない」としている。そもそも、人材の獲得方法が分からないとの声もある。白書では外部ノウハウの活用も含め、「『よいもの』を作る発想から『売れるもの』を作る発想への転換が重要」と指摘。「市場のニーズを取り入れたり、デザイン力を高めるなどブランドを構築することで新たな販路開拓の可能性が広がる」としている。

 

 
日刊工業新聞2015年04月02日/04月17日/06月18日/06月19日 列島ネット面
山口豪志
山口豪志 Yamaguchi Goushi Protostar Hong Kong 董事長
こういう取り組みが各地で開かれているのは興味深い。このようなイベントのアウトプットの場として当日の発表内容がWEBサイト等で紹介されることを期待したい。

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