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長岡技術科学大学が取り組む、リケジョが学びやすい環境づくり
女性の先生方から見た、リケジョや学校の変化とは
長岡技術科学大学では科学技術に関心を持つ女子学生を増やすことをテーマに掲げ、これまでもさまざまな試みを行ってきました。お手本や気軽に相談できる先輩が増え、女性のアイデアを取り入れてハードとソフトの改善を進めてきた結果、学内の雰囲気は大きく変わってきたそうです。理系女子が学びやすい環境づくりや今後の方策について、機械創造工学専攻の田辺里枝助教と物質材料工学専攻の高橋由紀子准教授にお話を伺いました。
【技学研究院機械創造工学専攻 田辺里枝(たなべ・りえ)助教】
女子学生の比率をどのよう高めるかについては、以前から学内で議論がありました。小中学生を対象に、実験やモノづくりを通じて科学の面白さを伝える「kawaii理科プロジェクト」をはじめ、さまざまな取り組みを行っています。それでも女性の比率がまだ低く、少しさみしいですね。
女性の良さは細かい点に気づくところ。あとは企画力というか、自立的な行動力という点でも女性の方ができますね。「ああしろ、こうしろ」などと言わなくてもすみますから。
実験条件を決める際にも、それまでの結果を踏まえて「次はこうしよう」「こっちの方がいいんじゃないか」などと、微調整することが得意だと感じます。もちろん人によりますが、「まぁいいか」で終わらせず、とことん追い込んでいく、より細かい部分に踏み込んでいく傾向がありますね。
教員としては、女子学生に対するサポートを意識することは特にありません。細かい点まで面倒みなくても大丈夫なケースが多いですし、そういう人は成績も良いですよ。自分で計画を立てて実行して、分からないことがあればきちんと相談にくる。男子だと相談に来ない人がいるんですよ(笑)。
大学全体としては、女性をサポートする雰囲気が高まっています。例えば教員や学生を問わず女性が自由に出入りできる「女性専用ラウンジ」を数年前につくってもらいました。ほかにもトイレに全身鏡の設置を提案したらすぐ採用していただきました。ハードに関してはこの5年程度で大分変わりましたね。
男性とは異なる視点、考え方を持つ女性が増えれば組織は活性化します。理系女性を増やすためには、さまざまなロールモデルを示すことが大切でしょう。理系に進むとどんな道が開けるのか。分かってもらうための情報発信も欠かせません。
【技学研究院物質材料工学専攻 高橋由紀子(たかはし・ゆきこ)准教授】
一口に〝リケジョ〟といっても、技科大の女子学生の比率は全体の10%程度でその多くが留学生です。技科大に入学する女子学生の8割が高専出身で、一般高校出身は2割。もともと高専には女性が少ないのも女子学生が増えない要因の一つでしょう。
特に工学系は少なく、2011年以降横ばいで推移しています。「理系は男性」「女性はこうあるべき」といったイメージを変えていく必要もあるでしょう。
理系の中でも女性は生物系の学部で多い半面、建設や機械、電気などでは少ないのですが、実はこれらの方が就職で有利な面があるんです。アカデミックなポストも多いですし、就職率はほぼ100%です。
女子学生の良いところはたくさんあります。「自分はこんなことをやりたい」など、気持ちがはっきりしています。逆に、受け身の人にとっては難しい分野かもしれません。また社会の役に立ちたいという気持ちが強く、特に技術者に向いていると思います。
今はロールモデルが増え、情報発信できる人が出てきた。こういう状況が普通になってほしいです。勉学以外でも女性にはリーダーとしてグループをまとめる力があり、バランスを取る役割を果たせる。
理系女子という選択の中でも工学は特にお勧めです。「この人だからできる」という専門的なスキルを身につけられるし、就職の面でも有利になります。人生設計もきちんとできます。結婚や出産といった人生のイベントで岐路に立たされることが多い女性には、ぜひ工学系を選択してほしいですね。
仕組みや制度に関してもが少しずつ変わってきていると感じます。例えば製造現場では重量物を持たなくてもすむなど、女性が働きやすい環境が整ってきています。これからもっと可能性が広がってくるはずです。
【東 信彦 学長】
本学は、主として、高等専門学校の卒業生を受入れ、実践的な技術の開発を主眼とした教育研究を行う、大学院に重点を置いた工学系の大学として、昭和51年に設立されました。開学当初、全体の1%に満た なかった女子学生は約11%に延びたものの、女性の社会進出の割合からすれば、まだまだ低い状況となっています。今後も男女が平等に学びやすく、働きやすい就学・職場環境作りを組織的に進めてまいります。
理系女子の進出に期待
理系に進む女子が少ないのも、そもそもこれまで女子は理系に向かないという誤った伝説が作られてきたのと、社会が受け入れる環境を作ってこなかったというのが理由です。これからは女性がもっともっと理系に進出し、活躍できる環境をつくれば、間違いなく人類は幸せな方向に進むでしょう。
理系女子に期待すること
男子女子に区別はありませんが、さらに期待することは、女性ならではの視点で機能・デザイン・生活・安心安全などを考慮した新たな“ものづくり”の世界を創り出し、未来社会で活躍していただきたい。
長岡技術科学大学ホームページはこちら>
さまざまなロールモデルを示すことが大切
【技学研究院機械創造工学専攻 田辺里枝(たなべ・りえ)助教】
女子学生の比率をどのよう高めるかについては、以前から学内で議論がありました。小中学生を対象に、実験やモノづくりを通じて科学の面白さを伝える「kawaii理科プロジェクト」をはじめ、さまざまな取り組みを行っています。それでも女性の比率がまだ低く、少しさみしいですね。
女性の良さは細かい点に気づくところ。あとは企画力というか、自立的な行動力という点でも女性の方ができますね。「ああしろ、こうしろ」などと言わなくてもすみますから。
実験条件を決める際にも、それまでの結果を踏まえて「次はこうしよう」「こっちの方がいいんじゃないか」などと、微調整することが得意だと感じます。もちろん人によりますが、「まぁいいか」で終わらせず、とことん追い込んでいく、より細かい部分に踏み込んでいく傾向がありますね。
教員としては、女子学生に対するサポートを意識することは特にありません。細かい点まで面倒みなくても大丈夫なケースが多いですし、そういう人は成績も良いですよ。自分で計画を立てて実行して、分からないことがあればきちんと相談にくる。男子だと相談に来ない人がいるんですよ(笑)。
大学全体としては、女性をサポートする雰囲気が高まっています。例えば教員や学生を問わず女性が自由に出入りできる「女性専用ラウンジ」を数年前につくってもらいました。ほかにもトイレに全身鏡の設置を提案したらすぐ採用していただきました。ハードに関してはこの5年程度で大分変わりましたね。
男性とは異なる視点、考え方を持つ女性が増えれば組織は活性化します。理系女性を増やすためには、さまざまなロールモデルを示すことが大切でしょう。理系に進むとどんな道が開けるのか。分かってもらうための情報発信も欠かせません。
気持ちがはっきりしているところがリケジョの良さ
【技学研究院物質材料工学専攻 高橋由紀子(たかはし・ゆきこ)准教授】
一口に〝リケジョ〟といっても、技科大の女子学生の比率は全体の10%程度でその多くが留学生です。技科大に入学する女子学生の8割が高専出身で、一般高校出身は2割。もともと高専には女性が少ないのも女子学生が増えない要因の一つでしょう。
特に工学系は少なく、2011年以降横ばいで推移しています。「理系は男性」「女性はこうあるべき」といったイメージを変えていく必要もあるでしょう。
理系の中でも女性は生物系の学部で多い半面、建設や機械、電気などでは少ないのですが、実はこれらの方が就職で有利な面があるんです。アカデミックなポストも多いですし、就職率はほぼ100%です。
女子学生の良いところはたくさんあります。「自分はこんなことをやりたい」など、気持ちがはっきりしています。逆に、受け身の人にとっては難しい分野かもしれません。また社会の役に立ちたいという気持ちが強く、特に技術者に向いていると思います。
今はロールモデルが増え、情報発信できる人が出てきた。こういう状況が普通になってほしいです。勉学以外でも女性にはリーダーとしてグループをまとめる力があり、バランスを取る役割を果たせる。
理系女子という選択の中でも工学は特にお勧めです。「この人だからできる」という専門的なスキルを身につけられるし、就職の面でも有利になります。人生設計もきちんとできます。結婚や出産といった人生のイベントで岐路に立たされることが多い女性には、ぜひ工学系を選択してほしいですね。
仕組みや制度に関してもが少しずつ変わってきていると感じます。例えば製造現場では重量物を持たなくてもすむなど、女性が働きやすい環境が整ってきています。これからもっと可能性が広がってくるはずです。
男女が平等に学びやすい環境を
【東 信彦 学長】
本学は、主として、高等専門学校の卒業生を受入れ、実践的な技術の開発を主眼とした教育研究を行う、大学院に重点を置いた工学系の大学として、昭和51年に設立されました。開学当初、全体の1%に満た なかった女子学生は約11%に延びたものの、女性の社会進出の割合からすれば、まだまだ低い状況となっています。今後も男女が平等に学びやすく、働きやすい就学・職場環境作りを組織的に進めてまいります。
理系女子の進出に期待
理系に進む女子が少ないのも、そもそもこれまで女子は理系に向かないという誤った伝説が作られてきたのと、社会が受け入れる環境を作ってこなかったというのが理由です。これからは女性がもっともっと理系に進出し、活躍できる環境をつくれば、間違いなく人類は幸せな方向に進むでしょう。
理系女子に期待すること
男子女子に区別はありませんが、さらに期待することは、女性ならではの視点で機能・デザイン・生活・安心安全などを考慮した新たな“ものづくり”の世界を創り出し、未来社会で活躍していただきたい。