ニュースイッチ

子供がお墓の前で“非言語コミュニケーション”の大切さを知る

生き物や物を供養していた気持ちと、環境負荷が小さい「グリーン購入」は同じ方向にある
 資源と環境の教育を考える会「エコが見える学校」の中には環境文化探検部がある。これまでに、食べ物・生き物・物などを大切にする気持ちにつながる史跡、言い換えると、さまざまな存在のお墓を訪ねてきた。

 「エコが見える学校」メンバーの三信化工が小学生に行った授業では、中高学年はお茶わんができるまでの話に関心が高く、低学年はさまざまな存在への供養・お墓の話に高い関心を示す傾向がみられた。

 後者の内容は江戸時代の人がくじらに「食べさせてもらってありがとう」という思いでお墓を作ったくじら供養や、稲作の害虫として駆除したイナゴに「ごめんね」という思いをささげた虫供養、長く使った針に「ありがとう」という思いをささげた針供養などにより構成された。環境文化探検部が現地を歩き、お寺でお墓の由来を聞いた話や、供養の行事に参加して得た情報も活用された。

 お墓の前に立つと、同じ場所で江戸時代の人々が生き物や物を供養していた気持ちに親近感を覚え、さらにこの話を通じて小学生の共感も得られた。「さまざまな存在を尊ぶ気持ち」は時代を超えて子供にも大人にも共通であり、恩師・古在豊樹先生の著書から「非言語コミュニケーション(表情、身ぶり、態度、雰囲気、五感と感性など)は人間とのコミュニケーションに役立つだけでなく、生き物・自然から多くを学び、環境保全能力や異文化理解能力の向上に役立ち、人間の心の豊かさを含めて地球生態系全体を豊かにしてくれる。非言語コミュニケーションの本質を見つめ直し、非言語で感じたことを明確に他人に伝えるために言語コミュニケーション能力の向上が必要となる。」というくだりを思い出した。

 環境負荷が小さい製品やサービスを優先的に購入する「グリーン購入」を実践する時、製品・サービスの一生と環境とのつながりを考える。内容は多岐に亘り、いつでも誰でもどこでもできるかというと難しい。グリーン購入セミナーの参加者から「物を大切にしたいと思う気持ちとグリーン購入基本原則は同じ方向を向いている」という感想をいただいたことがある。
 
 物を大切にしたいと思う気持ちに沿って、購入時にどのような判断がなされたのかを整理すると、製品・サービスの一生と環境とのつながりをどのように考えて伝えると共感を呼ぶのか、ヒントを得られそうである。エコが見える学校の活動とグリーン購入の相乗効果に期待している。
 (文=高岡由紀子グリーン購入ネットワーク事務局)

 ※日刊工業新聞では水曜日に『楽しさ届け!「エコが見える学校」のとりくみ』を連載中
日刊工業新聞2015年06月17日 ひと&会社面
山口豪志
山口豪志 Yamaguchi Goushi Protostar Hong Kong 董事長
エコを通して素敵な取り組みをしておられる。環境負荷の低い製品を選ぶという視点を子供の頃から意識させられるのは今後の彼らの選択に好影響を与えられそう。こういう取り組みが拡がるコトに期待したい。

編集部のおすすめ