【落合陽一】「自動車はEMSに。日本の電子部品メーカーに大きな商機」

「総合電機メーカーは、独自ソリューションでのブランド化がベスト」

 ―どんなビジネスを展開していますか。
 「(筑波大学などで)研究している光や音、波動の技術とデジタルファブリケーション(データを基にしたモノづくり)をベースに、顧客の新規事業や新製品の開発を支援している。光の波動技術を応用したホログラムなども強みであり、神秘性のある成果物を目指している」

 ―具体的な事例は。
 「車いすの制御向けに、波動技術を使った自動ブレーキ技術をアイシン精機と実現した。またTDKとはブランド戦略の一環として、同社の磁性技術とピクシーの空中物向けデジタルファブリケーションを融合し、リンゴやケーキを浮揚させる動画を公開した」

 ―興味深い技術ばかりですね。
 「近年、オーディオや動画、プロジェクションマッピングなど知覚的な技術をどう応用するかという点で、電機・IT業界が進化している。自動運転や仮想現実(VR)、拡張現実(AR)などのビジネスも同様に、人間の知覚にどう働きかけるかという空間設計の一種と言える。ただ(空間を知覚するビジネスでは)いずれ振動などの波動技術や、形を把握するデジタルファブリケーションが活躍できる。現在、企業が進めるビジネスを“1歩先”とするなら、我々の研究は“2歩先”を行っている」

 ―電機産業の1歩先のビジネスをどう見ていますか。
 「事業が多角化している総合電機メーカーは、明確な展望を掲げてブランド戦略に力を注ぐべきだ。ただ、社名や製品名のブランドではなく、独自性のあるソリューションでブランド化することがベストだろう。一方、電子部品業界は好調だ。IoT(モノのインターネット)や自動運転も日本の電子部品がなければ成り立たない。電子部品各社は(部品のモジュール化など)独自のソリューションを確立しつつある」

 ―電子部品のビジネスは、引き続き日本がけん引できますか。
 「自動車向けに商機がある。自動車もスマートフォンのように電子部品が多く実装される見通しで、これに伴い製造工程に変化が起きる。電装部の設計を重視した組み立てになるだろう。組み立て工程では自動化が一段と進み、電子機器製造受託サービス(EMS)企業が(スマホの製造を)受託するような形になるだろう。電子部品メーカーはスマホで培った知見を活用し、部品の組みやすさに特化したソリューションを展開できる」
(聞き手=渡辺光太)

【略歴】
2015年に筑波大学図書館情報メディア系助教に就任し、米国でピクシーダストテクノロジーズを創業した。研究や事業に神秘的な技術を用いることから『現代の魔法使い』と呼ばれる。近年は日本法人での事業に力を注ぎ、富士通やアイシン精機など多数の企業と共同事業を手がける。

日刊工業新聞2017年9月25日

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
09月25日
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ピクシーダストテクノロジーズは独創的な研究を基に、企業の技術革新を支援している。すでに家電大手やIT企業と15件のプロジェクトを立ち上げた。落合氏のユニークなアイデアも顧客企業に新たな視点を与えている。今後、世の中にどのような技術革新をもたらすか、同社の活動が注目される。
(日刊工業新聞第一産業部・渡辺光太)

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