欧州の工作機械見本市で日系メーカーがみせたIoT攻勢

IoT活用をアピールする展示が目立つ(ヤマザキマザックのブース)
 工作機械業界の一大潮流となっているIoT(モノのインターネット)活用。ドイツ・ハノーバーで23日まで開催中の「欧州国際工作機械見本市(EMO)」でも、日系大手各社は関連する新サービスを熱心にアピールした。

 「欧州は他の地域よりIoTの関心が高い」―。ヤマザキマザックの中西正純常務は、欧州でのIoT関連サービスの普及に自信を示す。同社は米シスコシステムズと共同開発したネットワーク接続装置「スマートボックス」を欧州で初出展し、提案活動を本格化する。

 工作機械の稼働監視・分析ソフトウエアなど関連サービスも含む提案力強化のため、今春に英国で技術者のチームを発足。顧客ごとの要望を満たすよう提案内容を決める。

 ジェイテクトは工作機械に設置してデータを収集・蓄積・解析する端末「TOYOPUC―AAA」を欧州で初出展した。春以降に発売した工作機械には標準搭載し、今後の利用拡大を見込む。

 井坂雅一副社長は「個々の工作機械のデータをしっかり収集できなければ意味が無い」と端末の意義を強調する。展示ブースでは、工作機械の稼働状況をスマートフォンで確認するデモを実施し、有効性を訴えた。

 IoT活用が進む一方で、慎重な意見もある。ブラザー工業の川那辺祐常務は「工作機械をつなげることで、どんなメリットがあるか整理する必要がある」と指摘する。自社の工作機械もネットワーク接続はしているが、「故障の予知は有効だが、その先はどんなことができるのか」と問いかける。

 IoT活用で次にできることを模索する必要はあるが、現状は故障予知の精度向上が重要テーマとなっている。

 オークマは新型の予防保全ソフトに、人工知能(AI)を活用した分析機能を盛り込んだ。異常な稼働を記録すると、AIがそれを学習する。日々の診断結果の精度が向上するため、故障予知につながる。

 展示ブースでは数カ国語を話す社員を同ソフトの説明員に置き、利便性を訴えた。家城淳専務は「工作機械の停止時間を減らせる」と利点を強調する。

 各社は新開発のIoT活用の仕組みを欧州で浸透させるため、EMOでアピールに努めた。

 独政府が産業施策「インダストリー4・0」を提唱するなど、IoTへの感度が高い欧州では、受け入れられる余地は大きい。欧州でも各社のIoT分野の競争が本格化しそうだ。
(独ハノーバー=戸村智幸、六笠友和、西沢亮)

日刊工業新聞2017年9月21日

COMMENT

川上景一
JEITA
常務理事

 ハノーバーで開催されている欧州国際工作機械見本市(EMO)において、日本の工作機械各社がIoTで積極的な提案をしていることが報じられている。工作機械産業の競争力が更に高まることを期待したい。記事にもあるように、「稼働監視・故障予知」の精度向上や、さらにその先の「どんなことができるのか、(顧客の)メリット」を提示していくには、自社完結ではなく、APIを開放し、サードパーティによるアプリケーションの充実を視野に入れていく必要がある。  顧客との接点として、EMOや日本工作機械見本市(JIMTOF)が重要なことは変わらないが、AIやIoT企業との共創で「データの価値」を創出することも必要になる。10月のCEATEC JAPAN 2017にファナック、アマダ、ジェイテクトが初めて出展し、コンファレンスも開催することは、新たな挑戦として注目に値する。

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